第4話 ヤエちゃん下着撮影
ヤエの部屋。
二頭身、ぬいぐるみサイズのラメはベッドの上でスマホをポチポチ操作していた。
「だぁー、またカスしか出ないラメェ。これ絶対確立操作されてるラメ!」
ラメがスマホで遊んでいるのは、ガチャで強い美少女を手に入れる、よくあるようなソーシャルゲームだった。ゲームの謳い文句は『でかい・揺れる・はじけ飛ぶ』である。
「もう石すっからかんラメ。あーもう人生終わったラメ」
ラメは力なくベッドに小さな体を投げ出した。
スマホ画面では限定品である”特乳オーパイ大佐”が、ガチャを回してほしそうに大きな胸を揺らしている。
回したくとも石が必要だ。石を買おうにもラメにはクレジットカードもお金もないのだ。
世の中は厳しい。一文無しのラメに優しくしてくれる世界はどこにもないのだ。
「ねえ、ラメ。スマホ使ってないなら返してよ」
聞こえてきた生身の女の声にラメが身を起こすと、そこには『でかい・揺れる・さすがにはじけ飛びはしない』女、ヤエがいた。
その大きな胸の上には桜のネックレスが居心地よさそうにはずんでいる。
「ラメからスマホまで取り上げるラメねー」
「いや、私のスマホだから。使う時は言ってっていつもいってるじゃん」
スマホを拾い上げたヤエは、感慨もなくオーパイ大佐を画面から消しさった。そしてその指で窓を開けると青空へ向かってスマホをかざす。
「なにしてるラメ? 今時そんなので電波立たせようとする人いないラメよ」
「電波立たせるってなによ。ほら、あそこ見える? あれ金星なんだって」
ヤエが指さした場所には確かに惑星らしき物がうっすらとみえた。だからといってラメにとって興味をそそられる物ではない。
いくら大きいと言ってもただの石っころである。そこに乳首も柔らかみもないではないか。
しかしながらヤエはそれに夢中なようで、真剣な顔をしてパシャパシャとシャッター音を鳴らしていた。
そんな様子をラメはボーっと見守っていた。
爽やかな風が部屋の中へと吹き込んでくる。
そして風に吹かれてちらちらと、ヤエの柔らかそうな太ももを包んだ黒のプリーツスカートが揺れる。
ラメの興味は簡単にそそられた。
「……ラメが撮ってあげるラメ」
「え、いいよ。もうけっこういい感じに撮れたし」
「まあまあ、遠慮することはないラメ」
ラメは半ば強引にスマホを奪うと、そのままレンズをヤエへとむけた。
「え、私を撮るの?」
「ほらほら、ちょっと窓辺に腰かけてみるラメ」
ヤエはやや戸惑ったような表情を見せながらも、指示されるがままに座って長い髪をなおした。
日光に照らされ、ヤエの白いブラウスからキャミソールが透けてみえる。だがスカートから覗く太ももの奥まではもう少しといったところだろうか。
ラメはとりあえずシャッターを切っておく。
「まあ悪くないラメけどねぇ。もう少し深く座ってみるラメ」
「そんなに奥まで座ったら外に落ちちゃうって。もう十分撮ったでしょ」
そう言ってヤエは窓辺から降りてしまった。
このままでは撮影が終わってしまう、と焦ったラメは頭をひねる。
口実さえあれば、ヤエはチョロいから付き合ってくれるはず。なにも難しく考える必要はない。なにせチョロいのだから。
そんな失礼なことを根拠に、スカートをはたくヤエに思いつきを口にしていた。
「あー、実はヤエの生活風景を撮らないといけなかったんだラメ」
「なに、生活風景って」
「ラメは人間の調査のため、この地球にやって来たってことはもう話したラメね」
それもまあ、てきとうなホラ話なのだけど。
「そのための報告資料として、人間の生活風景の写真が必要になるラメ」
「それのモデルを私に?」
ヤエは大きな胸の下で腕を組み、難色をしめした。
「んー、色んな人に見られると思うと、ちょっと気恥ずかしいかな」
「モデルといっても地球の生活がメインだから、気負わず指示にしたがってくれればいいラメ」
少し考える様子を見せたヤエであったが、「私でいいなら」と同意してくれた。
「ありがとラメー。じゃあ、さっそくそこに立ってみるラメ」
「立ってればいいの?」
言われた通りの位置に立ってくれるヤエ。ちゃんとしたモデルの経験などないのだろう、髪を何度もさわって自分の部屋なのに居心地が悪そうだ。
改めてみてエロい身体をしている、とシャッターを切るラメは思った。いや、どんな生命体だってヤエを前にすればそう思うに違いない。
正面からでもその豊満さが伝わってくるおっぱいから、なだらかな曲線を描く腰つき。そしてその腰からふっくらと柔和なお尻へとつながっていく。そんなお尻から伸びる足はもう文句のつけようもなかった。
こんなエロいの教材にしたら別のモノがはかどってしまう。
衣服を着用していてもそう思わされるのだ。
ムクムクと興奮が湧き上がっていく。
「ねえ、もういい?」
「えっ。あー、そうラメね。……じゃあ次はスカートを捲り上げてみるラメ」
「えっ!? 捲り上げるってなに言ってるの。無理だよ、そんなのっ!」
ヤエは顔を赤くさせて拒否を示した。それはそうだ。うら若き女が下着姿を晒すことなど、心許した男の前であっても恥じらいは残るだろう。
ましてやカメラの前である。それがデータに刻みこまれるなんて、だれにでも肌を許すことと同義であると考えてもおかしくない。
だが、ヤエならば――
「人間がどういった衣装を着用しているか報告しないといけないんだラメ。ほら、ラメたち基本的に裸で過ごしているラメ?」
「でも……し、下着ならそこの引き出しに入ってるの、撮ってもいいから」
「パンツだけ撮っても分からない人にはかぶる物だと思われちゃうラメ」
「うっ……そんなこと言われても」
「ヤエ。ラメは正確な情報を伝えないといけないんだラメ。どこの世の中も、間違った情報ひとつで、大きく未来を変えてしまうことがあるんだラメ」
ラメたちの未来のために、と真剣な表情でヤエの情に訴えてみた。
ヤエはしばらく困惑した様子だった。
ラメは目で訴えかける。
早くパンツ見せろ。早くパンツ見せろ。と念をこめて。
そんな思いが通じたわけではないだろうが、ヤエは一息飲んで口をひらいた。
「ぜ、絶対流出とかはさせないでねっ」
「ひゃっふーラメ! ヤエは最高ラメー!」
やはりチョロい。
「その資料が出来上がったらちゃんと消すんだよ?」
ちゃんとデータを移してから消そう。
「さあさ、はやくパンツ見せるラメ!」
「あ、あんまり急かさないでっ」
ラメは逸る気持ちでスマホ画面越しにヤエを覗きこんだ。
ヤエは俯き、両手でスカートの裾をつかむ。
そして、意を決したヤエはじわりじわりとスカートをめくっていった。
ぷにぷにとした太ももが、徐々にその全貌を露わにしていく。
『パシャパシャパシャパシャ!』
「そ、そんなにいっぱい撮らないでよっ」
「決定的瞬間を抑えるのがラメの大事な仕事ラメ。はやく、ヤエはヤエの仕事をするラメ」
「わ、わかったよ、もう……」
シャッター音が響き渡る部屋で、ヤエは再度スカートをめくっていく。
スカートはどんどん短くなって、ついに目的のモノがお披露目されるのだ。
『パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ!』
「うぅ……」
ヤエは短く呻いた。膨大なシャッター音が、自身の穿く薄ピンク色のパンツに集中していることを意識しているようだ。
ラメはその恥ずかしそうな表情とパンツをスマホデータに収めていく。
なんと美しい光景なのだろうか。
ふたつの太ももという優美な山の間に現れた、ふっくらと咲き誇る薄ピンク色の花。それがスカートという帳を押し上げて見事に開花しているのだ。
これぞまさにマン開の桜!
いや、そういうのいいから写真撮るラメねー。
「ねえ、撮れた? もういいよね」
「まだよく見えないからもっとスカートたくし上げるラメ。あ、視線こっちにくださいラメ」
「うぅー、なんでよぉ……」
ヤエは文句を言いながらもスカートを更にめくりあげ、上気した顔をスマホのレンズに向けてくれる。
「いいラメねぇ。あ、じゃあピースくださいラメ」
「なんでピース……」
「あー、モデルに同意もらってるか分かりやすいほうがいいラメ。ほら、笑顔で頼むラメ」
納得したのかどうか、ヤエは右手をおずおずとスカートから離し、顔の近くでピースを作って不器用に笑う。
傍から見れば、若い女が自らパンツを見せつけて記念撮影をしている様である。
なかなかに感慨深いものだ。
「もういい? ね、もういいでしょ?」
「まあ、いいでしょうラメ」
許可をおろすと、ヤエは素早くスカートをおろして一息ついていた。
「はぁ、なにやってんだろ。こんなことしてるの知り合いに見られたりでもしたら、もう顔も合わせられなくなっちゃうよ」
「まあまあ、ラメが使うだけだから気にする必要ないラメ。さあ、要領をつかんだところで、次、撮影しちゃうラメ」
「え、次……?」
ヤエがおそるおそるといった様子で尋ねてくる。
「なに言ってるラメ。パンツ撮ったんだから当然ブラも必要になってくるラメ」
「うぅ……もう好きにして」
うなだれるヤエのネックレスがキラリと光った。
こうしてヤエの撮影会は続いていく。
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