第4話 今学期初めての回想‼︎

 『凛、、、お、、る、じゃ、、、』誰かの声が頭で響いている。『凛、起きるのじゃ!』その声が終わると同時に思いっきりのビンタが飛んできた。その瞬間聞くだけでも痛々しい音が響いた。『痛ってえ!誰だ!』俺が飛び起きると目の前には、俺の上に馬乗りになっているカノンと心配そうにこちらを見る杏、夏弥、六花がいた。『なんだ、カノンか、おはよう、心配かけてすまなかったな。』俺がそう言うとカノンは笑った。

『大丈夫じゃ!妾はすぐ起きると信じてたぞ!』

『その割には結構泣いてたけどね〜』六花がそう言うとカノンは六花を睨みつけた。

『うるさいのじゃ!妾は泣いたなどおらん!』

『そう言う事にしておかぁかな〜』

『なんだとー!』

『二人共!凛君が起きたばっかだから静かにして!』杏に二人は怒られ、少し反省したように返事をした。『それで凛君、、、付き合ってたんだね、、、お姉ちゃん知らないから教えて欲しいな、、、』やばい、、、これ杏が完全にキレてる時の喋り方だ!


『これは中学校卒業の時の話、、、、、、』


 俺が朝起きると、目の前には寝巻きの六花がいた。『は、、、なんで人の部屋に入ってんだ!はやく出ていってくれ!』

『凛君ひどいな〜せっかく卒業式だから来てあげたのに、、、というか、鍵開けっぱなしたのが悪いと思うけど、、、』

『それはそうだが、、、とりあえず着替えさせてくれ』俺がそう言うと六花は朝食を作っておくみたいな事を言い残し部屋を出た。嘘だよな、、、流石に人の家の台所を使いはしないと思うが、、、俺はとりあえずスーツ姿に着替えた。


 俺がドアを開け、リビングに行くと机の上に豪華な食材でできた料理があった。『なんだこれ!すげぇ!普通は食べれない食材が、、、いったい誰がこの料理を、、、』

『私だよ!凛くん!』六花はとても機嫌が良さそうに言った。マジで料理したのか、、、けどうまそうだから良いか!

『はい、あーん』ニコニコした六花が俺の口に料理を乗せたスプーンを近づけていった。だが俺が何も出来ず固まっていると、六花はこちらを穴が空くほど見つめてきた。六花の目は俺に食べる事を促すように、、、俺はその視線に耐えられず口を開け、スプーンの上にある料理をいただいた。


 『なんだこれ!すげぇうめぇ!』俺がそう言うと六花は嬉しそうにこちらを見て言った。『でしょー自信作なんだ!』親がいない俺にとっては明るい空間で誰かと食べるのが久々で少し嬉しかった。そうこうしているとそろそろ家を出なければいけなくなった。


 『そろそろ学校行くからじゃあな、ありがとう!めっちゃ美味かった!』

『ちょっと待って!』俺が荷物を持って外に出ようとすると、六花がそう言い俺の体を持ち上げた。突然の出来事に俺はあたまの処理が追いつかず、固まって六花を見ていた。『えーっと、、、六花さん、、、?』六花はニコニコして、目隠しを出した。『10分間だけこれを目に巻いて♡』六花に言われるがままに目隠しをつけた。


 何かはわからないが、服が脱がされたのはわかった。最終的にパンツ一丁にされた。『えーっと、六花さん、、、?何をしているんですか??』俺は心配になってきて、六花にそう尋ねた。すると六花は手を止めずにこう言った。『終わってからのひ・み・つ♡』体が何かに締め付けられる感じだ。もしかして袴か、、、?とりあえず何も考えずいよう。無意識に、無意識に、無意識n zzzzz『あらら、寝てしまったかー』


 六花は静かに寝ている凛を起こさぬ様に袴を着せている。六花は慣れた手つきで袴を着せ続けていた。六花は何も喋らず一枚また一枚と着せていった。『できたー!起きてー』六花は凛を起こすため、揺さぶり続けた。『ふわぁ、ママぁ、あと5分ー』六花は凛の気が抜けた返事に、とても笑った。その音に凛は驚き跳ね起きた。


 『俺!なんか言ってたか?!』俺は六花の大きな笑い声に起こされた。そして俺は先程、人に聞かれてはいけない事を聞かれたような気がし六花に聞いた。


 『どうしたのぉ〜ママは何も聞いてないよぉ〜』六花はニコニコして言った。はぁ、小さい頃の癖が出てしまった、、、恥ずかし!『それにしても凛くんの袴姿を見てると七五三を思い出すねぇ〜』六花は続けていった。


 『小さい頃の癖なんだ!違うんだ!と言うかこの袴俺が小4の頃にきた袴じゃねぇか!』くそ!やはり小4の頃から体が成長していないということか!俺は体の成長が遅かったのだが、小学4年生からは全く身長が伸びなくなった。悲しいな、、、ふと時間を見たら歩きじゃ間に合わない時間だった。『六花さん、良ければ、バイクに乗せて行ってほしいんですけど、、、遅刻寸前なんで、、、』俺がそう言うと六花はニヤリとなにか企んでいるような笑みを浮かべ言った。


 『どうしようかな〜さっきみたいにママって言っておねだりしたら考えてあげてもいいかな〜』

『は、、、?何を言ってるんだ、、、?俺に言えと、、、?』俺が驚きそう聞くと六花は壊れたおもちゃみたいに激しく頷いた。『えっと、、、嫌なんだけど』

『けど言わないと遅刻しちゃうよ?いいのかな〜卒業式の日に遅刻しちゃって。卒業式してる中を通っていかないといけないよ。みんな凛くんの事白い目で見るだらうね〜』そんな事言われたら言う以外ないじゃねえか、、、俺は一度落ち着くために深呼吸をした。。『マ、ママ〜俺をバイクで卒業式に連れて行って欲しいな〜』

『え〜仕方ないな〜凛ちゃんが言うんだもんね〜なら連れて行ってあげる。少しバイクの準備をしてくるから待っててね〜』六花は満面の笑みで俺にそう言った。


 準備ができたと言われ外に出ると女子高生が乗るとは思えないバイクがあった。黒のボディに光を反射させ赤く輝く塗装をして、二人乗り用の大きめのバイクだ。とてもごつい。『じゃあ乗って』俺は六花に言われ乗ろうとしたが、身長の高さで後ろの座席に届かないかった。俺が乗ろうと奮闘している姿を六花は優しく見ていた。いや、手伝ってくれよ!俺が諦めようかと思った時六花がバイクを降りた。六花は俺の脇に手を伸ばし持ち上げた、そして俺をバイクの後部座席に乗せてくれた。『ありがと』俺は自分で登れなかった恥ずかしさに頰を少し赤くし、お礼を言った。

『いいよ、別にそれじゃあ出発するよ、しっかり私に抱きついて〜おちないようにね!』


 六花がそう言った瞬間、バイクは雲を分けるくらいの轟音がなった。そうしてバイクは進み出した。バイクに乗っていると、風が感じれた。人が走って浴びることのできる風なんかよりもよっぽど強い風だ、まるで俺らを遠くに飛ばしてしまいそうな。


 なにもなく卒業式には間に合った。そして何にも変わることなく、卒業式は終わった。卒業式が終わったのはちょうど午後の1時くらいだった。俺は卒業式で親の代わりに来てくれてた六花にお礼を言いに行った。『六花、今日は色々とありがとな!お前ご親の代わりに来てくれたのほんと嬉しかった。と言うか、みんな六花がすごい綺麗って俺が羨ましがられたよ』

『そっか、卒業式お疲れ様、凛くんは私のこと綺麗って思う?』六花は優しい表情で俺に聞いてきた。『うん!綺麗だ!』俺は迷うことなく答えた。すると六花は嬉しそうに笑った。

『凛くんどうしても伝えたいことがあるの、、、』


 

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