パート57: 落ちこぼれの答辞
数ヶ月後、僕たちは卒業式を迎えていた。
トーナメントで優勝したチームのリーダーとして、卒業生総代の答辞を読む大役は、僕に回ってきた。
僕が壇上に上がると、会場中の視線が僕に集まる。
生徒たち、教師たち、そして来賓席に座る国王陛下や、やつれた顔の父さんの視線も。
僕は、用意された原稿を無視し、自分の言葉で語り始めた。
「卒業生の皆さん、そして、この学園の関係者の皆様。本日は、このような晴れがましい日を迎えられたことを、心より……嬉しく思う、などと言うつもりはありません」
僕の言葉に、会場がざわつく。
「僕にとって、この学園での生活は、決して楽しいものではありませんでした。レベル1の落ちこぼれ。家の恥さらし。そう呼ばれ、蔑まれ、孤立した日々。この学園は、人の価値を、スキルとレベル、そして家柄という、くだらない物差しでしか測れない、腐った場所でした」
僕は、学園の体制そのものを、真っ向から批判した。
教師たちは青ざめ、父は苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「才能があっても、平民というだけで虐げられる。
国を守る力があっても、攻撃能力がないというだけで役立たずと罵られる。
優しい心を持っていても、獣人というだけで恐れられ、遠ざけられる」
僕の言葉は、この学園に存在する、全ての理不尽を抉り出していく。
「こんな場所で、一体何を学べというのでしょうか。僕には、最後まで分かりませんでした」
僕は、壇上から、全ての人間を見下ろすようにして、言い放った。
これは、僕からこの腐った学園への、最後の復讐だった。
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