学園一の落ちこぼれと蔑まれる俺、実は無限の経験値で美少女をプロデュースする伝説の育成家でした ~俺の正体を知らないエリートたちが、俺の育てた”最高傑作”に蹂躙されていくのを眺めるのは最高の娯楽です~

人とAI [AI本文利用(99%)]

パート1: 『生ける化石』の日常

「――では、二人一組でグループを作れ。今日の課題は連携魔術の基礎だ」


 教官の言葉に、教室がにわかにざわつき始める。

 生徒たちは慣れた様子で近くの友人と肩を組み、次々とペアを作っていく。

 そんな喧騒の中、僕、アラン・フォン・エルフィールドだけが、ぽつんと一人で席に座っていた。


(まあ、いつものことか)


 誰かが僕に声をかけてくる気配はない。

 それどころか、皆が僕の席を避けるようにして移動しているのが、視線を上げなくても分かった。


「おい、見ろよ。アランのやつ、また一人だぜ」

「当たり前だろ。レベル1の『生ける化石』と組んで得することなんて何もないからな」

「むしろ魔力が暴発でもしたらこっちが迷惑だ」


 ひそひそと、しかし確実に僕の耳に届くように交わされる悪意の囁き。

 僕は聞こえないふりをして、ただ窓の外を眺めていた。


 王立魔術学園。

 エリートの卵たちが集うこの場所で、僕は異端児だった。

 名門エルフィールド侯爵家の次男として入学したものの、僕のレベルは2年間ずっと「1」のまま。

 スキルも発現せず、成長が完全に止まっている。

 それが、僕が「生ける化石」と呼ばれる所以だ。


「……アラン・フォン・エルフィールド」


 不意に、教官が呆れたような声で僕の名前を呼んだ。

 見れば、他の生徒は全員ペアを組み終えている。


「お前は……また一人か。はぁ……」


 深い深いため息。

 同情でも憐れみでもない。ただ、厄介者を見る目だ。


「仕方ない。お前は向こうで基礎の魔力操作訓練でもやっておけ。くれぐれも、他の生徒の邪魔はするなよ」


「……はい」


 僕は無気力に返事をして、席を立った。

 背中に突き刺さる嘲笑をやり過ごし、訓練場の隅へと向かう。


(邪魔、か。僕がいるだけで邪魔なんだな)


 別に気にしてるわけじゃない。

 むしろ、この孤立は僕にとって好都合ですらある。

 それでも、心のどこかがちくりと痛むのは、まだ僕に余計な感情が残っているからだろうか。


 僕は言われた通り、的(まと)に向かって基礎魔法の火球(ファイアボール)を放つ。

 もちろん、わざと威力を抑えて。

 ぽすん、と情けない音を立てて霧散する小さな火の玉。


「ぶはっ! なんだよアレ、線香花火か?」

「侯爵家のご子息様とは思えねえな!」


 また笑い声が上がる。

 僕は表情を変えず、淡々と「失敗」を繰り返す。

 これが、僕の日常。

 これが、僕が望んだシナリオの、最初のページ。

 この退屈な舞台で、僕はただ一人の観客であり、主役の登場を待つ脚本家なのだから。

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