第26話 vsフェアリードッグ(狼っぽい)
できる限り魔物を避けて進む俺とモカ。
しかし、こればかりは仕方ない。
「なんかデカい狼がいる」
大きさで言うなら牛二頭分くらいの大きさだ。
明らかにこの辺にいる雑魚敵の狼とは違う。
「あれは、フェアリードッグ!」
モカが真剣な眼差しで、そう言った。
フェアリー? あれで?
でかいし目は三つあるし。
それよりも、
狼じゃなくて犬なのかよ!!
と、突っ込みたいところだが、モカは真剣だ。それに、この世界では何か違うのかもしれない。
狼じゃなくて、犬......ね。
違いを考えるなら、野生的か、誰かに飼われているかって感じのようにも思うが、自信は無い。
とりあえず、倒して、いいんだよな?
俺はチラリとモカを見る。
もし俺がチートで倒しても、モカに、
「かわいそうです!」
なんて言われたら目も当てられない。
モカはそんな俺の視線に気づいたらしく、頷いて答えた。
「アレは倒しちゃってください!」
「え? ああ、うん」
なんだろう。さっきの蜘蛛と、このデカい狼は
モカの中では何が違うんだ?
とはいえ、本人に聞くような状況でも無いし、となると俺が考えても答えなんて出ない。
だから、俺はモカを信じて、モカを守るだけだ!
いくか!
狼はずっと俺たちに気づかずに徘徊していたが、草陰から俺が飛び出したので、さすがに気付いたようだ。
「バウッ!!」
なるほど、確かに鳴き声は犬だ。
そういや、犬なら、てか野生動物なら鼻が効くはずだよな?
気づいてなかったのか。
それに、目が三つってのも、なんか。
なんでそんな進化をしたんだろう。
他の雑魚狼は、普通に二つ目だよな?
「どちらのスキルを取得しますか?
→超撃
→迅撃」
「そうだな、迅撃」
狼なら素早いはず。威力より速度を上げた命中重視だ。
俺は剣を振り上げる。
あれ、ところでこの「迅撃」って、具体的にはどんなスキルなんだ。
フェアリードッグとの距離は結構ある。
向こうはこちらを値踏みするようにじりじりと歩いている。
これ、このまま振り下ろしても、当たらないよな?
後ろをチラリと見ると、モカが見ている。
真面目な表情だ。
「余呉野さん! 頑張ってください!」
「あ、あぁ!」
これ、振り下ろしていいんだよな?
攻撃を外すとか、あんま格好悪いところは見せたくない。
でも、ドッグも都合よく向かってきてくれそうも無い。
それに、こんなところで時間を使ってたら日が暮れる。
俺は渾身の力で、振り下ろしてみた。
頼む、どうにかなってくれ!
すると、
バタン、と、フェアリードッグが倒れた。
え? なんで?
見ると切り傷のようなものが一筋長く太く刻まれている。
「すごい......!」
モカは驚嘆の表情をしている。
俺も驚愕の表情をしている。
そうか。多分あれだ。振るのが速すぎるから真空波とか出たんだ。
とりあえず、勝った!
それにしても、手応えがない。
もっと強い敵、出てこないかな。
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