真面目系ロリコンJC見城さんの愉快な日常~今日もアホな友人やストーカー男の娘に振り回されてます!~
苺伊千衛
プロローグ
私の友人がテレビショッピング番組をし始めたというので、指定された時間にテレビをつけてみることにしました。
テレビをつけるとそこでは、オープニングのちゃちいアニメーションと共にテーマ曲が流れていました。
『ヨウジョ―パネットヨウジョパネットー♪ (フワッフワッ)夢のヨウジョパネットかまたにー♪』
どう考えてもあの番組のパクリじゃないですか。
しかしヨウジョパネットとは。幼女パネットということでしょうか? いいんですか割とギリギリを攻めてしまって。まあ、幼女好きの私としてはポイントが高いですけれど。
そんなことを考えていると、テレビ画面には私の友人二人が映し出されていました。
『皆さんこんにちは、今日もヨウジョパネットテレビショッピングのお時間がやってきました。司会の
そう微笑む友人一人目は、ふわふわのショートカットに、潤んだ瞳がチャームポイントな美少女、
『同じく、司会の
そんな霧の隣で挨拶をしている能天気な女の子は、私の親友、
二人の友人が、私たちが通っている中学校の制服を着て、ヨウジョパネットテレビショッピングをしていました。個人情報ダダ漏れじゃないですか。
しかし、テレビショッピングのはずなのに、肝心の商品が置いてませんね……。
『えー、今日ご紹介する商品は、
「え」
司会の霧が口にした商品名は、まさしく私の名前でした。同じ名前の家電か米があるのでしょうか。
『こちらが、見城さんなんよ』
アホ毛を生やしたみよりちゃんが言った途端、画面いっぱいに少女の映像が映し出されます。長い黒髪の女子中学生。
私そのものです。
なんですかこれ。人身売買ですか。勝手に売りに出されたんですか私。
『この見城さんは、テストでは毎回百点を取れる優等生です』
そんな霧の説明と共に、自慢げに満点の答案を見せてくる私の画像が表示されます。毎回百点は取れませんが、まあまあまあ、事実にそこまで反しては無いでしょう。
本当は運と勘で点数を取っているんですけれどもね。
『運動神経はとてつもなく悪いんよ、見城さんって』
次にみよりちゃんがそう言って、テレビに私の画像が映し出されます。
これは……去年――1年生のころですね――の体育の時間で、縄跳びが全身に絡まってしまった時の写真です。必死に跳んでいたら、気づけば縄跳びが『跳び』の部分を失い縄そのものになっていたんですよね。しかし、第三者視点で見てみると、女子中学生が縄跳びで手足をぐるぐる巻きになっている姿って、かなりシュールな光景です。
『そして彼女は誰に対しても敬語を使います。しかし丁寧な性格かと言えばそうでもないです』
そして出てくる映像。私が『おくたばりあそばせ』と言っている映像です。
これに関しては言ったことないですよ。
事実無根のことが交えて説明されていることに憤りながらも、テレビの続きを見ます。
『さて、そんな見城さんのお値段は、なんとっ!』
『36872円! 36872円になります!』
相場が分かりませんが、タブレットと同じくらいの値段で人間を売るのはちょっとどうかと思います。
テレビの中の友人二人は、営業トークを続けます。
『さらに! 今から30分以内にお申し込みの方にのみ! お値段変わらずもう一人見城さんをプレゼント!』
二人もいらない。
『それに加えて先着8000名様限定! 単二乾電池を35本、お付けするんだべ!』
どうしてやや使わない乾電池を付けるんでしょうか。みよりちゃん。
『今からお電話お待ちしており……やっぱりだめだ!』
売り込みトークをしていたかと思ったら、急に霧がキレました。
『見城さんを売るなんて許せない……ボクだけの見城さんが良い!』
そう、隣に立つみよりちゃんに掴みかかります。
『ダメなんよ鎌足……いや、鎌谷社長! 見城さんはわしの友達でもあるんよ! 独り占めなんて許せんよ!』
そしてみよりちゃんは霧に掴みかかり返します。
テレビに映し出される光景は、美人二人が襟首を掴み合っている、ややドロドロした代物。
『根来みよりさん! ボクはずっとあなたに嫉妬していたんだ。見城さんとやけに仲が良くて!』
『それ言ったらわしだって、最近見城さんと知り合ったばかりなのに見城さんに下の名前を呼び捨てで呼んでもらえる鎌谷霧のこと、羨ましがっていたんよ!』
うわあ、修羅場……でもなんでお互いをフルネームで呼び合っているかが気になって話している内容が入ってきません。
二人が言い合っている中、エンディングが流れ出しました。
『ヨウジョ―パネットヨウジョパネット♪ (フワッフワッ)夢のヨウジョパネットふじたー♪』
鎌谷と根来しか居なかったのに藤田とは。誰ですか藤田さん。
「はぁ……」
めちゃくちゃな番組だった、と思ってため息を吐きます。
私は、一緒に番組を見ていた後輩の女の子に声をかけます。
「
「まったくなのだ」
うんうん、と頷く前髪の短いロリーな美少女は、私の小学校時代からの愛しい後輩、
「鎌谷も根来も見城のこと、なんだかんだで好きなのだな」
感心したように言う千波ちゃん。
「そ、そんなこと無いですよ」
私はなんだか気恥ずかしくなって、そっぽを向いてしまいました。
そして私がそっぽを向いた先に、この家に居るはずない人が居ました。
「我も千波についてきてやったぞ」
そんな風に言って笑うのは、私の一個上の先輩、
「一条。 どうしてここに居るのだ!」
びっくりする千波ちゃんに、一条先輩は何もかも見透かしたような瞳で、
「我はいつでも千波のそばにおるぞ。それとな、このヨウジョパネットかまたにだが、我がプロデュースして我がカメラマンをした」
「道理でおかしな内容になったわけですね……」
私はため息を吐きました。
さて。
いつも能天気で、根っからの関東人なのに瀬戸内とかそこらへんっぽい喋り方をする悪友、根来みよりちゃんと。
少しだけ愛が重い一個下の友人、鎌谷霧と。
いつも可愛らしくて一条先輩に気に入られている後輩、瀬田千波ちゃんと。
行動が読めない不思議な先輩、一条雪先輩。
これは、そんな四人と私が送る、他愛のない日常ストーリーです。
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