衝撃日記
遠山ゆりえ
交通事故
大学1年も終わり、2年になる前の春休みの出来事だ。
高校の同級生たちとワゴン車2台で河口湖に遊びに行くことになった。
免許取りたてのA君はあまり運転に自信がないものの、運転手の1人になり国道246を走っていた。
しばらくすると、先に行くもう1台とかなり離れてしまった。あせったA君は黄色いセンターラインにもかかわらず、ラインを越えて目の前の車を追い抜こうとした。その時、対向車線にはトラックが……!
ドラマなどの交通事故の場面でスローモーションになるのは、リアルな表現なのだと実感した。
ぶ・つ・か・る
時間がゆっくりと流れた。走馬灯は見なかったが、次に起こるであろうこと、どうしたらいいのだろう? など色々な考えが一瞬の内にぐるぐる頭の中を巡った。
ガシャーンというぶつかる音と共にドン、ドンと2回の衝撃を受けた。
ごめん……と後ろを振り向いたA君の申し訳なさそうな顔。トラックの運転手さんが慌てて「だ、だいじょぶかー!」と駆けつけた。
特にどこも痛くない。けれども私のカーディガンにべっとりと血が!
隣の子が頭を打って付いたものだった。頭からの出血は軽い怪我でもびっくりする。
痛くないと思ったのは緊張していたせいで、私も両スネをしたたか打っていた。骨折はしていないが打撲で痣ができ、擦り傷があった。
警察で事情を聞かれた後 、どうやって家に帰ったかはよく覚えていない。
A君は入院する怪我だったが私を含め皆軽傷だった。今もみんな元気だ。
その日の夕刊に事故の記事が小さく載った。
家に帰りカバンを開け、スチール缶のジュースがひしゃげているのを見て、ゾッとした。生きててよかったと思った。
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