幕間 暉燐教主の説法会――、基本設定解説
●はじめに:
教主様「ふむ……、ではこの世界や仙人に関する基礎を今から語って効かせようぞ。……しっかりと聞いておれ?」
※ 以下は本作品の世界観を深く知るための解説です。読まなくてもある程度お話を楽しむことは可能ですので、こういった内容が好きな方のみお読みください。
●おさらい/呪法奇伝の基本:
★異能の基礎概念:
異能とはこの世界全体の、一般的物理法則に反する超常的存在全てを指す言葉じゃ。それは、明確に形を持つ妖魔を初め、異能力、魔法、呪法、道術、なども指す。
この世界最大の魔法組織である【
では、わかり易くパソコンで例えてやろうか?
【世界律】は機械の機能を司る【機械語】と言えるのじゃ。【異能】、すなわち【パソコンに何らかの仕事をさせる】場合、当然機械語を変化させなければならんが、機械語を直接触ってさせる仕事を組み上げる、そんな事が出来るヒトはそうそういるものではない。当然、仲立ちとして【オペレーションシステム】を利用することになるのじゃ。これが観察者としてのピースの一つであるヒトが持つ【世界律管理機能】であるわけじゃな。ただし、ヒト一人の機能はそれほど強くはなく、集合意識的観察眼の方こそが優先されるために、【異能】はほぼ成立しないのじゃ。そこで、ヒトは異なる二つの方向性で【異能】を成立させようと考えたのじゃな。
一つ、【集合意識的観察眼】によって成立している【補助管理機能】すなわち【神祇】を利用する方法。
二つ、ヒトとしての格を引き上げて弱い【世界律管理機能】を、【神祇】が持つ【補助管理機能】に匹敵するほど成長させる方法。
一つ目の方法は、最も広く世界に広まった【魔法、あるいは魔術】と言われるもので、それに利用される【神祇】のことを【魔法理論】と呼ぶのじゃ。
ここでいう【神祇】とは、一般に信仰されている神様ではないのじゃ。必要ならそう振る舞うが、あくまで世界の管理機能として成立している半ば意志を持つプログラムなのじゃ。
【神祇】は、その理論を信じるヒトが一定数集合することで、その【魔法理論】を世界律管理機能のオプションとして成立させて、【異能】が成立する手伝いをするのじゃな。
【呪法奇伝】本編における【呪法】とは、このように成立しているものを指すのじゃよ。
こうして、世界には異なる【魔法理論】に基づいた【異能】が成立しているのじゃ。生命としての形を持つ妖魔すらその範疇であり、当然日本の妖魔と他国の妖魔とでは【異能としての機能的に違いがある】場合が多くなるわけじゃな。
★霊格と神位特効(神性):
【神祇】を利用して【異能】を成立させる場合の、その仲介機能の成長率を表すのが【霊格】というものじゃ。
霊格とは、ようするにどこまでを観察範囲にしているのかを表すものであり、その範囲にあるものは干渉ができる、という意味も持つのじゃ。
世界を認識出来ないエネルギー生命【霊格0】ならば世界に干渉は出来ず、一般法則範囲しか理解していない者【霊格1と2】ならば一般的世界の範囲、それ以上の異能の世界を理解した者【霊格3以上】であるならば理解出来た範囲の異能まで、干渉して形ある機能として成立させることが可能になるのじゃよ。
そして【霊格6】、即ち神格となった者は、【神祇】としての機能を獲得するのじゃ。これを【
さて、ここまできてやっと【仙道】の話に入るぞ?
【仙道】とは、不老長生の獲得方法から成立したものじゃが、ヒトとしての格を引き上げて弱い【世界律管理機能】を独自の【道術】として成立させることで【異能】を獲得したのじゃな。
【魔法理論】に強く制限される一般術師からの神格と違い、【魔法理論】は参考資料程度の意味しかないのじゃ。ゆえに、道術には基本的に【術式】としての明確な形が存在せず、呪文詠唱をほぼ行わずに奇跡として成立させることが可能となっておるのじゃ|(無論、あえて【神祇】を利用する、あるいは補助に利用する方法もあるが)。そういった【道術】の機能を、形ある物品として成立させたのが【宝貝】であり、それ自体が高度な【世界律管理機能】に匹敵する存在と言えるのじゃ。
●仙人とは?:
【異能】に対するアプローチが、一般術師とは異なる方向性をもっている存在、それが仙人なのじゃ。
先にも言ったが、本来は不老長生の獲得方法から成立したものであり、独自の【異能】を成立させる事で神格に匹敵する能力を獲得したのじゃ。
ゆえに、この世界においては【仙人】は神格に匹敵する存在、ようは【神と同格】ということになるのじゃ。
その大きな特徴として、存在力の強さを表す【天命】を成長させて、不老長生は強大な力を獲得してゆくのじゃ。その成長具合を【天命数】と呼び、その成長方法をまとめた基本マニュアルを【正道】と呼んでいるのじゃな。
わしらが扱う【異能】である【道術】は基本的に術式を持たぬのじゃ。呪文としても、正確に起動させるための【起動式】や、重要な情報を入力するための【変数入力】を行う程度で、長々と呪文を詠唱したりはしないのが普通じゃな……。そこらへん【宝貝】も同じであり、特定の【道術】を成立させる機械として生み出され、物品としての外観が込められた【道術】の影響を受ける、あるいは、より意味のある物品であれば高い機能を発揮する、という制限を受けた、ほぼ呪文詠唱を必要とせず機能する品ということになるのじゃ。
【宝貝】は本来【道術】を広く沢山の人が扱えるように生まれた品なのじゃが――、しかしながらそれが広がったことによって、本来の【道術】を頑張って習得しようと考える仙人は少なくなりつつあり、――便利ではあるが道術の廃れる原因にもなっておるものなのじゃ。
●真人とは?:
真理に至って最高位の【世界律管理機能】を獲得した者こそ【真人】なのじゃ。
真人に至ることは、より【神祇】に近い精神性となる事であり、ようは【ヒトデナシ】になるとは、そのまま神、超越者としての精神性を得るという話になるのじゃ。
精神性はより機械的、プログラム的になり、必要ならばすべての生命としての精神性をキャンセルする事ができるようになるのじゃ。
ようは、人間的な感情に引きずられて、苦しんだり、憎んだり、辛い思い、悲しい思い、あるいは恐怖、をわざわざ感じる必要がなくなり、全ての精神的苦から開放されるわけじゃな。
無論、真人とはヒトから変わったものであり、精神性をそのまま保持する事も可能ではある……。しかし、大抵の真人はわざわざ【精神的苦】を感じ続ける必要性を感じないから……、まさしく【ヒトデナシ】として生きるものが多くなるわけじゃ。
さて、【真人】に至ると、世界を直接改変する【奇跡】を獲得できるようになるのじゃ。
その代表格こそ【死者蘇生】であり、真人に至ったものの多くはまずこれを獲得しようと考えるのじゃ。
ただ、これら【奇跡】は、自由に行えるものではないのじゃ。当然、ヒトから成った存在故にある程度の制限があり、要するにあらかじめどのような奇跡を獲得するか考えて、長い修練を行う必要がるのじゃな。そうして、特定の【奇跡】を獲得してゆくので、真人が扱う【奇跡】はその仙人の考え方や経歴などに大きく機能が左右されることになるのじゃ。――決して、自由に簡単に奇跡が起こせるものではないのじゃよ。
教主様「よし……、とりあえずはここまでじゃな。――次の説法会を楽しみにしておれ?」
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