【天球シリーズ】学園革命
星月愛夜@星紡ぎの冒険譚
星紡ぎ冒険譚 序章『天球』
※この物語は、作者個人のスピリチュアルや哲学思想が含まれています。苦手な人は無理せずスルーしていいからね!
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宇宙のどこかの惑星。
春の陽射しが差す木漏れ日となり、芝生の上は優しく温かい。
その木陰で、一人の若い青年が本を読んでいた。
分厚い本の表紙には
『星紡ぎの冒険譚』と書かれていた。
飲み物を添え、春風を感じながらの読書は最高に心地好い。
本は、一人ひとりの人生が描かれている。
そんな魂に込められた知識や沢山の思いが詰まった本。
若い青年はその重みを知っている。
だからこそ、愛おしそうに大切そうに
本を抱えていた。
今日もそうして誰かの心に確かに届いている。
それがとても尊い。
──そこに、ボールが転がってきて、若い青年のもとへやってくる。
それを追いかけるよう、一人の少年もやってきた。
青年はボールを拾い、優しく手渡す。
若い青年:「はい、どうぞ」
少年「ありがとう。ねぇ、何を読んでるの?」
不思議そうな顔をして尋ねる少年。
興味本位なのか、少し寂しく感じたのか
その心の内までは勿論分からない。
けれど、子供ながらの純粋な瞳は、真っ直ぐこちらを見つめていた。
なので、若い青年は、優しい笑顔で答える。
若い青年:「『星紡ぎの冒険譚』という物語だよ」
若い少年:「冒険譚!?面白そう!!」
目を輝かせた若い少年が目の前にいる。
男の子は、こういう物語が好きだ。
若い青年は、その様子を見て嬉しく言葉を続ける。
若い青年「『ホシアイ伝説』とも呼ばれているんだけどね。
これは、『天球』と呼ばれている世界から
宇宙にある沢山の世界を飛び回り、
出会いと成長を重ねていく
そんな王族の子どもたち『星紡ぎ』のお話だよ。」
子供:「えー!なにそれー!全然知らない!もっと聞かせて!!」
知らない世界に触れたワクワクした少年の表情。
青年もその反応に嬉しくなる。
自分の好きなものを関心を持つように真っ直ぐ見つめられることは、やっぱり誰だって嬉しい。
若い青年:「ふふ。
じゃあ、お話してあげようか。
あるところに────」
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ここは、宇宙の天界と地球の狭間にある世界、
「天球」
天球人の彼らは、魂を本質とし、
年齢や性別の感覚は薄く、音楽が大好きだった。
そして、この天球には、
愛、星、炎、氷、森、太陽、闇
と、7つの属性の国があり、
人々の記憶から抽出される愛と希望のエネルギー
をクリスタルに込めて生活している。
しかし、最近の天球のエネルギー状態は、不均衡
で、あまり芳しくない様子だった。
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ピンクを中心とした中世ヨーロッパ風の建築物、
美しい水路の景観が整った国。ここは愛の国。
愛の国では、沢山の美味しい洋食の食べ物や
キラキラした可愛いアクセサリー、雑貨など、
多くの店が並び、賑わっていた。
子供たちは、噴水の周りを楽しそうに走り回る。
マダム1:「最近、エネルギー足りないのよね~。
生活も節約に必死だし、
仕事にもイマイチ身が入らなくて困るわ~。」
水色の服を着たマダムは、肩を回しながら、
ため息をつく。
マダム2:「分かるわ~。
王族の人達が一生懸命働いて多少削ってでも、平等に分け与えてくれてるみたいだけど、
そもそも地球からのエネルギーが枯渇してるんじゃあどうしようもないわよね~。
最近、闇の勢力が強く働いて支配しようと軍隊を用意してる噂だってあるし...」
ピンクの服を着たマダムも、困ったようにため息をつく。
マダム1「えっ!?それ、ほんと!?マジでこわいやつじゃん」
マダム2「ほんとよ?
闇の国の未来の預言者フォーチューン様が、
未来の預言の書で、今年の星紡ぎが旅立つ頃、
天球に厄災がやってくるって話。」
マダム1「マジで言ってる!?
怖すぎるんですけど~!でも、そうよね~。
光のエネルギーが枯渇したら、
闇の勢力にとっては、支配できるチャンスですものね~。
てか、なんでアナタがそんなこと知ってるのよ」
マダム2「は~、ニュースとか新聞見てないの?
今、その事で密かに国民の間でも大騒ぎになってるのよ?」
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一方、その頃では、そんな愛の国の街を歩く親子らしき二人がいた。
白い髪青い瞳の少し歳をとったお父さん。
茶髪ロングの赤ピンクの瞳を持つ幼い女の子。
横についてるリボンを嬉しそうに触りながら、
お父さんの手を繋いでいた。
女の子はふと、マダムの会話に足を止める。
その後も歩いて周りから微かに聞こえる声と、
困ったような表情。
それを見た女の子は、悲しくなった。
女の子にとって、この国は生まれ育った。
大好きな国なのだ。
女の子「ねぇねぇ!お父さん!
皆、困った顔してる。なんで?」
末っ子のまだ小さい愛娘の無邪気な質問に、
王である父も流石に躊躇う。
今の情勢は芳しくない。
今年旅立つ星紡ぎの姫としては伝えるべきだが、
可愛い我が子には、あまり打ち明けたくない。
それは、父としての威厳を保ちたい気持ちと、
この愛の国を誰よりも愛する娘の曇った表情を
見たくなかった。
だけど、これは...預言者フォーチューンに告げられた運命だ。
王直属の闇の国からわざわざ来てくれていた占い師。
その預言は、ほとんど確実に当てる。
ただし、そこからの行動次第で未来も変わる。
お父さん「それはね、
光のエネルギーが足りないからなんだよ。」
女の子「お父さん、直せないの?」
王である父は、ぐっと堪えながら、苦笑いで、
頬を掻きながら、娘の純粋な質問に応える。
お父さん「お父さんも頑張ってるんだけどね、
とっても難しいんだよ。
エネルギーを増やすには、
沢山の色んな世界の人々の嬉しいや大好き
が必要になるからねー。」
女の子「わかった!じゃあ、愛夜(あや)が、
得意なお歌で沢山皆を笑顔にさせてあげるね!」
そう言って、お父さんを安心させたくて、
笑顔を向けるのは、この物語の主人公愛夜(あや)
愛の国の末っ子姫である。
国王の父は、末っ子姫の愛夜の頭を無言で
撫でた。
無邪気に嬉しそうな愛夜は、知らなかった。
この後に訪れる自分と自分の愛する人々に訪れる悲劇を...。
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「国王!」
驚いて、二人で振り返ると、
血相を変えて慌てて走ってきたのは、お父さんの部下だった。
(おかしいな...いつも、こんなに顔色悪くないのに...)
いつもと違う。そんな違和感を感じた。
何か、嫌な気配がする。
国王の父「どうした」
父の部下「至急!王城へお戻りください!
姫様もです!闇の勢力が軍隊を率いて、
こちらに向かってきています!!
天球地図システムを展開し、確認済みです!」
それを聞いたお父さんの顔色も悪くなる。
その瞬間、私は反射的にお父さんの服を握りしめて、くっついた。
ただならぬ雰囲気。
そして──お父さんがどこかに行ってしまいそうな予感。
緊迫した会話が愛夜の心にどんどん膨らませていく。泣きそうになった。
国王の父「何!?エネルギー状態は!?」
父の部下「対抗できるエネルギー量が、圧倒的に不足しています!なので、プランB実行中です!
闇の勢力がこちらに向かって来るまで、他の属性国の王族と星紡ぎたちに招集をかけました!」
国王の父「分かった!すぐ戻る!愛夜、ちょっと抱っこするぞ!」
愛夜「お父さん!?」
お父さんが慌てふためいて走り、王城に戻る姿を見て、私は──今は聞いてはいけないと思った。
──いつものお父さんは、堂々と王座に座って、私に揺らいだ顔なんて見せようとしないんだ。
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