銃使いと術師

シーサル

様々な出会い

2人は出会う

第1話 ある男

この世界には、魔法やオーラといった幻想的な物が存在する。

そんな世界では冒険者は剣や魔法を使うため銃を使う者は少なかった。


「う、、嘘だ」


そんな世界の中で俺、ラドが引き当てたスキルが「術家(銃)」であり、銃を作る専門のスキルであった。

素材と少しの知識さえあれば銃を作る事が出来るという、中々のチートスキルなのではあるが、その使用者がいない。

当然、鍛冶屋に行けば門前払いで、俺は一向に職に就くことが出来なかった。


この世界は、魔力量とスキルが全て。努力も全てそれに押し潰される。

そんな世界なのだ。


「冒険者、、なろうかなぁ、、、」


かといって、俺に銃の才能はない。

今から習得したとして、十分なお金を稼げるまで何年かかることやら。

と人生を半ば諦めていた所でトボトボと夜の街を彷徨っていると、


「え?」


ふと見た路地裏に人が倒れているのを発見した。

すぐに駆け寄ろうとしたが、足が止まる。

最近、弱っているふりをして近寄ってきた人の背後から金品を盗むといった盗難事件が発生している。それに、、、ここで助けたとて俺に利益があるのか?


「ない、、けど」


最後に、最後にこうやって人を助ける事ができるのなら。

こんな自分でも他人の役に立てるのなら、俺はこの1歩を踏み出すべきだ。


俺はその男性の安否を確認するためにゆっくりと路地裏に入っていく。

横を見ると落書きが描かれている。苔もあちらこちらに生えていて悍ましい雰囲気を醸し出している。

壊れかけの街灯の下にその男はいた。


そうしてしゃがんだ瞬間、体が膠着する。魔法だ。


「この野郎、、」


睡眠魔法により俺は眠りこけてしまった。

---

「んん、、んん!」


意識が覚醒すると共に自分の口が動かない事が分かった。

当たりを見渡すと不規則に物が散らばっている。どうやら倉庫のようだ。


その瞬間、奥の方から順に電気がつき始めて正面から男が顔を出した。


「あんだけニュースになっているのにも関わらず、こうやって引っかかるバカがいるとはな!」


「俺に何をするつもりだ!」と声を出そうとしたが上手く出せない。


「解除しろ」


と男が命じると一気に口元が楽になった。

やはり一種の魔法であったようだ。

という事は気を失ったのも睡眠魔法と見て間違いない。


「俺をどうするつもりだ!」

「どうするも何も、、殺すだけだ」


殺す、、そんな言葉に驚愕する。

まさか俺はこんなことで死んでしまうのか、、


「楽に死ねると思うな」

「んん!ん!?」


また口が閉じられた。


「さぁ、、まずは手足を切断していこう」


とゆっくり近づいてくる。

体が震える。今俺の顔はどうなっているだろうか?

きっとメチャクチャだ。


相手はそれを見て笑っている。

こういう顔を見たかったのか、、、ははは、、、


目を瞑ろうにも、また魔法で固定されて目を閉じる事ができない。

剣を持った男はゆっくりと近づいてくる。

もう無理だ、、、





パンッ!!



その時、倉庫に発砲音が響いた。


「あ、、がっ」


と、剣を持った男は倒れ込む。


「何者、、ガッ!」

「死ぬ!嫌ガッ!」


パン!という音だけで人が死んでいく。

魔法により目は閉じれない。ただ俺はこの人の死を見なくては行けない。

ザマァなんて気は起きない。ただただ恐怖だ。

後ろで誰かが発砲して、音が鳴った後に前にいる人が死ぬ。

真っ赤な血を出して死んでいく。


「ウオェ!」


血に耐性がない俺は吐いた。

そしてついに、魔法を発動していた物が死んだのか目を閉じれるようになった。


パンッ!

という音が何度か響いて、遂に途切れた。


ゆっくりと目を開けると地獄が広がっていた。


「よぉ」


と目の前に人が現れる。

俺を救ってくれた救世主、、、の筈がどうしてもそうは見えない。


身長は180を優に超えて髪はは赤に染まりボサボサ。

そして左腕にはSOEと彫られた魔紋。黒い目からはさっきが滲み出ている。

悪魔。それこそが彼の第一印象だった。


俺は、、どうなるんだ、、、


「飯、、」


「え?」

「飯ィ、、、」


と言った後に彼はバタリと倒れてしまった。


「え?」


椅子と紐で結ばれて動けない俺を残して、、、


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