第11話 

ミオにゃんと別れたあと更に敷地内を歩いていた時だった。


庭園に入り込んだのだが、その隅には見覚えのある人物が本を読んでいた。


(フローリア)


備え付けの座席に座って優雅にティータイム。


もちろん絡むつもりは無い。

彼女に絡むと問答無用でメインストーリーに引き込まれそうだからな。


そう思い素通りしようとしたのだが。


「どこへ行くつもりかね」


ビクッ!

声をかけられた。

もちろん、声が向けられたのは俺だ。

だいたい、他に人いないし。


「……」


もしかして彼女には俺がダイヤ100であることとかわかってるんだろうか?

原作でも最強の一角って言われてたし、有り得なくは無いか。

そう思いながらフローリアに近付いた。


「無視しようとしてすいません」


「はぁ?いや、無視はしてもいいけど。私はそう思うし」


「ん?」


「校舎は向こうだぞ?」


俺が行こうとしていた方とは真逆を指さした。


「それとも、君は不良なのかな」


「不良?」


「授業をサボろうとするなど立派な不良だろう?私はそう思う」


「え?」


時計を見る。

やっべ!探索に集中しすぎて時間忘れてた!

あと1分で授業始まる。

遅刻確定だな。


「すいません。俺、行きます」


「待ちたまえ」


「ん?」


「今から行っても間に合わんだろう?ならもう少しゆっくりしていけばいい。私はそう思うがね」


「ならお言葉に甘えて。どうせ遅刻ですしね」


対面にも椅子があったので腰掛けてみた。

まさか序列一位とこうして会話することになるとは思わなかった。


フローリアは本を読んでいた。


「それ、なんの本なんです?」


「創造魔法の論文だよ。最上位のランクになると読めるものだ」


「へぇ、俺にはなーんにも分かんないですけど。難しそうですね」


「簡単だよ。私はそう思う」


ペラ、ペラとページを捲っていた。


「ところで、あなたは授業出ないんです?」


「我々最上のランクは授業を免除されている」


「なんで学校来てるんすか?」


「この本だよ。最上位になると開放される一部の書物。本当に価値があってこれを読む為だけにきている」


そういえば原作でもそんな感じの設定だったな。

トップ連中はほんとに化け物揃いで学校のレベルが低すぎてつまらないから、各自で自習するとかなんとか。そっちで勉強した方が効率がいいらしい。


「ところで君。どうして私に敬語を使う?」


「え?あ、いや。なんとなく使っちゃいました」


「君は授業をサボる不良なのだからそんなもの使わなくてもいいと私は思う」


「なら、普通に話すよ」


「うん、そうしてくれると嬉しい」


原作ではもっと真面目な人って描写だったけど意外と話しやすそうな人だな。


つーか、よく見るとマジで美人だなーこの人。

胸がデカくて頭良くて実力もあって、オマケに美人とかヤバすぎだろ。


そう思いながら見つめているとフローリアはおもむろに顔を上げた。


急に目が会ったから俺としては直ぐに目を逸らしてしまう。


てか、冷静に考えてやばくね?


(この人とこれ以上関わるともっとメインストーリーに引き込まれそうだな)


俺は椅子から立ち上がった。


「そろそろ戻るよ。やっぱり授業はあんまりサボりたくないし」


「そうか。君は不良ではないのだね」


「うん、そういうわけで、じゃあ」


俺はそのまま振り返ることもなく校舎の方に向かっていくことにしたのだが、最後にもう一度声が聞こえた。


「ランキング期間、頑張ってね。微力ながら応援しておくよ」


「よろしくー」



教室には時間を潰して次の授業から戻った。

ちょうどランキング期間の説明が始まってる。


「というわけで皆様。この学園のシステムに慣れていただくために一週間全力で殴りあって貰います」


「ミスミランダ。俺はあなたと宇宙の果を超えた先まで殴り合いたい」


「あらあらあなたの将来は負け犬しかありませんわよ?それでもよくて?」


「ふっ。手厳しいな。しかし、優秀な飼い犬というのは飼い主の愛を受けるもの。カモーン」


ちなみにアッシュは変態ということがもうクラス中に認知されている。

こいつの奇行はもはやみんなスルーである。

そんな中だったがミランダ先生は俺に目を向けてきた。


「ところでエリオットくんはさっきの時間どうしていなかったのかなー?」


「お腹痛くて」


「なら仕方がありませんわね。さっきの授業は出席しておいた事にしておきましょう、先生優しいので」


許してくれたらしい。めっちゃ優しい。


そう思ってたら先生は涙ぐんでいた。


「先生とても悔しいですよ。回復科のみんながあんまりいい評価を受けていなくて」


そこで一旦区切る。

初日、入学式でゼムがやったように先生は俺たちを鼓舞し始める。


「でも皆様はそれで満足ではありませんよね?」


「もちろんだ、ミスミランダ。他の科のヤツらをぶっ倒すぜ?」


「そう、その意気ですわよ。とりあえずブロンズを1人でも多く抜けましょう。そして、目指すはゴールド!ここまで来れば来月のイベント【謝肉祭】に参加できますわ!」


(むっ……)


「謝肉祭は一年に一回のお祭りイベント。学園の資金を使いありとあらゆる高級肉を取り揃えた焼肉パーティですわ」


(筋力値も限界突破しそうな祭りだな)


「皆様で勝利して謝肉祭に参加しましょう。ちなみに回復科は1人でもゴールドランクに到達すれば全員で参加できます」


「ほう、俺達も舐められたもんだな。このクラスには俺様アッシュ様がいるってのによぉ。俺のドッグパンチで全員KOだ」


そこで更にミランダ先生のテンションが一段階上がった。


「てめぇら!肉を食う準備は出来てるかぁぁぁぁ?!!」


「「「おぉ!!」」」


「肉、肉肉ぅぅぅぅぅぅぅ!!!おぉぉぉぉぉぉ!!!14年振りの謝肉祭ぃぃぃぃぃぃ!!!お前ら私を連れていけぇぇぇぇ!!!」


ミランダ先生は1人で盛り上がってる。


(今の発言。歳ばれるだろ)


ま、先生のテンションは置いといて。どの道このクラスに俺がいる以上謝肉祭は確定なんだが。


(もうひとりくらい、ゴールド入りさせとくか)


万が一があって俺がダイヤなことがバレてもいやだしな。

となれば、自然と候補はアッシュかユフィになるんだが、どっちにするかな。

どっちを選んでも大変そうだ。

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