人目を避けるように教室の隅で佇む、美しくも冷たい少女――月ノ瀬冴。
同級生の五十井涼介は、彼女にふとした興味から声をかける。
噂話にすぎなかったはずの「超常現象マニア」という奇妙な肩書。
けれどその先にあったのは、噂では済まされない「何か」だった。
奇妙な蔵、封じられた鏡、不自然な静寂、そして伸びてくる黒い影。
彼女の家に流れる「怪異」の血と、「呪い」という言葉が現実味を帯びるたび、
涼介は、ただの好奇心では踏み込んではならない領域へと近づいていく。
それでも彼女は、一人ですべてを抱えようとする。
誰にも頼らず、誰にも心を明かさず。
それでも彼は――彼女の震える声と、その背を、見過ごすことはできなかった。
これは、正体の見えない「怪異」と、
誰にも頼らない少女の「孤独」に触れていく、
ひとりの少年のささやかな決意の物語。