第37話  休憩時間



「それだけならまだ良かったんだけどな」


 将太くんは渋い顔をしてそう言った。小春が将太くんに「そ、それだけって?」質問していた。


 私も小春に同意するよ、それだけなら......ってことは、まだ他にもあるってこと?


 将太くんの方に視線を向けると、困ったような顔をした。


「説明したいけど、うまく言える気がしねえから、ちょっと待ってほしい」


「わかった」


 将太くんはそう言ったきり黙ってしまった。光瑠はテレビの近くに置いてあった新聞を広げて、小春はお手洗いに行った。


 この話題を持ち込んだ朝日をチラッと見ると、興味なさげにスマホを見ていた。そういえば将太くんが説明している間、一度も発言していない気がする。


 将太くんがまだ、どんな風に切り出すか迷っている感じだったから、私はその間に小声で朝日に注意した。


「朝日、話題を振ったからには、ちゃんと話を聞いた方がいいんじゃない? 流石に失礼だと思うよ!」


 私の言葉に朝日はスマホから目線を逸らして、私の方を向いて答えた。


「何度も聞いている話だし、内容もぜんぶ覚えてるんだ。だから、聞いていないくても大丈夫」


「いやいや! だからといって、スマホでゲームするのは良くないというか......」


 私の言葉に朝日は眉を少しひそめた。でも、すぐにいつもの笑顔に戻った。


「ゲームなんてしてないよ。ほら、天気が荒れてただろ? だから天気予報を見たりしていたんだ。あとは責任者の西野さんに連絡を入れていたんだ」


 西野さん......あー! 停電の時に電話に出てくれた人か!!


「連絡って、なんの?」


「いや、サプライズを俺が考えただろ? 山吹さんたちの反応と好評について話していたんだ」


「へー」


「まあ、俺のことはいいから将太の話をちゃんと聞いてくれよ。俺も色々とアドバイスをしているつもりだけど、将太は腑に落ちないって感じだったし」


 朝日があまりにも真面目な顔で言うもんだから、私は「わかった」って返事をして、小春が戻ってくるのを待った。

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恐怖のサマーキャンプ 鳥羽 あかり @red_apple

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