第35話  えっ......



 ユウちゃんがリビングを出ていってから、五分が経とうとしている。それなのに、なんで誰も話さないの!?


 しかもこの原因を作った朝日と光瑠! 何か一言でもいいから話しなさいよ!!


 今はみんなで冷蔵庫の中にあったスイカを食べている最中。ちょうどユウちゃんが風呂に入った頃に、私と小春が食べ終わって光瑠にスイカの入った皿を渡された。 ※後から食べ終わった朝日と将太くんもいただいてました。


 スイカは甘くて、水々しくて美味しいはずなのに、なんで空気はこんなに重いの!? せっかくのスイカが台無しだよ!!


 ムシャムシャとスイカを食べていると、将太くんがフォークを置いた。


「確かに好きだなぁって思うようになったのは、霞さんや柴垣に言った日だよ。でも、ユウのことはずっと前から知ってた」


 なんと! それは初耳!!


「そうなの?」


 私の言葉に将太くんは「まぁ」と言って、きまり悪そうに下を向いた。その将太くんの反応をみた朝日がニンマリと笑った。


「そうか、そうか。で? いつから知り合ってたんだっけ?」


 朝日.........あなた、絶対に知ってて聞いてるでしょ。なんて悪い人なのよ。朝日の隣にいた小春も少し顔を引き攣らせてるし。


「......朝日先輩は知ってるじゃないですか」


「まあ、でも山吹と光瑠くんに誤解を与えるような説明をしたのも、事実だろ? ただでさえ、説明が下手なんだし、いま言ってしまえば良くないか?」


「それは......まぁ」


 将太くんって説明するの下手なんだ......意外。でも、誤解って......?


 朝日の言葉にピンときてないでいると、将太くんが観念したように言った。


「さっきも言ったけど、ユウを好きだと自覚したのは小学六年生の時。でも、ユウのことが気になり始めたのは、小学四年生の時だよ」


「小学四年生......」


「ああ、四年生に上がってユウはクラスで浮き始めたんだ」


 えええっっ!!?? あのユウちゃんが??


 なんで!?


 驚いて言葉を失っていると、光瑠が呟いた。


「小学四年生......ちょうど、思春期というものが始まる時期か。それもあるのか?」


 あー! 確かに女子と男子の間に壁が出き始める時期だよね! うわぁ、懐かしいなぁ。そういえば、仲がよかった男子に名字でさん付けをされた時、悲しいって思ったことがあったっけ?


 でも将太くんの話してる感じだと、そんな男女の壁というより、何か事件っぽいのがあったって感じなんだよね。


 光瑠の質問に将太くんは口調は荒めに、でも優しそうな表情をして言った。


「ああ、少しある。っていうか、ユウの場合はむしろ陰湿っていうか、女子との間でトラブったみたいで、しばらくの間......ハブられてたんだ」


 えっ......


 それから将太くんが私たちに話してくれた。ユウちゃんを気になり始めたエピソードを語り始めた。

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