第34話  違和感



「恋バナしてたっけなぁ? 懐かしいぜ」


 ニヤニヤと笑う朝日......なんて悪いことをしているの......


 将太くんが冷や汗をダラダラと垂らしながら、小声で朝日に言い返していた。


「いえ、気のせいだと思います」


 視線も下の方を向いていた。光瑠は知らない間にカップ麺を食べ終わったみたいで、冷蔵庫からカットされているスイカを取り出して、食べていた。ムシャムシャと食べつつ、私が持っていた違和感を朝日に聞いていた。


「小学生か......それっていつのことだ?」


「俺が小学六年生だから、将太くんが小学五年生の時かな? それがどうしたんだ?」


「ああ、さっき滝口が言っていたが......その好きな人と知り合ったのは、小学六年生の時のことだと言っていたので」


 光瑠の言葉に将太くんは肩をすくめた。朝日が将太くんの方を向いても、将太くんは朝日と目を合わせないようにしていた。


 怪しい......


 そのことに気づいた朝日が目をキラリとさせて、将太くんに詰め寄った。


「光瑠くんの話を聞いている限り、時系列が上手く噛み合わないんだけど、どういうことかな?」


 将太くんが返事に困っていると、隣でそうめんを食べていたユウちゃんが立ち上がった。


「ご、ごちそうさまでした。わ、私、皿を戻してきます。あ、あと、先にお風呂に入ってもいいですか?」


 ユウちゃんが私と小春を交互に見て、尋ねた。ユウちゃんが元気のないように見えるのは気のせい......かな?


「いいよ! 先に入ってきて!」


「だ、大丈夫だよ。湯船にゆっくり浸かってていいからね」


「はい」


 ユウちゃんはそう言って、食器を素早く片付けて、リビングから出ていった。すぐに戻ってくると、パジャマを持って洗面所へと消えていった。


 洗面所からガチャッとドアの鍵がかかる音がして、リビングには居心地の悪い空気が残っていた。

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