第28話  まさか、まさか!?



 「やっぱり、好きだなあ」


 下を向いて呟くユウちゃんを見て、確信した。ユウちゃんって、将太くんが好きなんだね。


 いや、もう将太くんと話している様子とかで気づいてはいたけど。


 ユウちゃんと私以外のメンツは今、台所にいる。向こうからは楽しげに「やめろ、バカ!」とか「うわ! このカップ麺、小袋が入れっぱなしになってる!」とか聞こえてくる。楽しそうでいいなぁ。


 ユウちゃんに小声で話しかけた。


「ユウちゃんってさ、やっぱり......将太くんが好きなの?」


「え!? えっと......」


「いや、さっき好きだなぁって、言ってたから。そうなのかな? って気になって」


 私の言葉にユウちゃんは少し私を見て、また視線を下に落とした。


「はい。わ、私は......将太くんのことがすごく好きです」


 な、なんて急展開!!!


 顔を真っ赤にさせたユウちゃんを見て、私も頬が熱くなる。


「いいじゃない! まだ会ってから一日しか経ってないけど、将太くんってとても素敵な人だと思うよ!」


「そ、そうですよね! そ、それに優しいし、は、話も聞いていて楽しいし、すっごく魅力が詰まっている人だなぁ、って思うんです」


 嬉しそうに話すユウちゃんを見て、私も笑顔になった。なんて......なんて可愛いんだろう。恋する乙女って感じがする。


「告白はしないの?」


 私の言葉にユウちゃんは「え!?」と、驚きの声を上げた。


「したいです。でも、とても私にできるとは思えません」


 そっか、残念だなぁ。


「そっか。でも、応援するね!」


「ありがとうございます」


「いえいえ、じゃあそろそろテーブルの方に行こうか......って、え?」


 ソファから立って後ろを振り向くと、そこには顔から耳まで赤くなっている将太くんが立っていた。


 まさか......

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る