第19話  何の音!?



 ギシ......ギシ......ギシ......ギシ


 ずっと廊下から重たい足音が聞こえてくる。でもその足音はずっと廊下を往復しているような感じで、リビングの方へと来る気配がない。


 このまま静かにしていたら、バレないはz...


「おい! そこに僕たちを閉じ込めた奴がいるんだろう! 早くドアを開けてくれたまえ!」


 「たまえ!」って、光瑠......アンタ、王様とか偉い人のつもり?


「今回ばかりは柴垣の言う通りだ! 早くドアを開けろ!! ぶっ潰すぞ!!」


 今回ばかりって......まぁそうだけど、声を上げるのは今じゃないし、それに後半の言葉はもう少しオブラートに包めなかった?


 とりあえず、二人を静かにさせないと!


「ちょっと...! 泥棒とか、殺人犯だったりしたらどうするの?」


 二人の肩を軽く叩いて耳打ちすると、途端に二人は顔を青ざめた。そして慌てたように足音が聞こえてくる廊下に向かって言った。


「やっぱり、もう少し後でいい! まだ開けないでくれ!」


「そ、そうだ! 柴垣の言う通りだ! もう少し時間をくれ! あと、さっきぶっ潰すって言ってごめんなさい!!」


 うわぁ、二人とも手のひらをぐるぐる返してるね。ドアは開かないし......ん? これってドアがどういう風に開かないんだろう? ドアに向かって一生懸命に声を張り上げている光瑠と将太くんに声をかけた。


「ドアの鍵は開いてるの?」


「洗面所の方は閉まっていたぞ。ガチャって音が背後から聞こえたからな」


「こっちは扉が引き戸だってこともだったから、あまり確信はねえけど、箒? みたいな棒を掛けている感じだったよ」


「ドアが開かないようにするやつね」


「そう、たまに先生を教室に入れないようにしてるアレだ」


 うーん、どうやったら出れるんだろ? 三人で頭を抱えていると突然、洗面所のドアと廊下のドアがガタガタと音を立て始めた。


ガタガタガタガタ


「「ひぃ!!」」


「!?......なんだ、ドアか」


 私と光瑠が同時に声を上げた。将太くん、反応がなんかドライじゃない? っていうか


「ちょっとハモらないでよ!」


「なんだと!? 霞が合わせてきたんじゃないか? 僕はハモらせるつもりなんて微塵もない!」


「私だってそうだよ!」


 私と光瑠で言い争っていると、将太くんが呆れた顔をしていた(懐中電灯越し)。


「お前ら......付き合ってないのか?」


「「付き合ってない!!!」」


 あ、またハモった。でも全然、嬉しくない!! なんでこんな時にまで、光瑠とハモらないといけないの!?

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