第14話  ガールズトーク(2)

 何を話せばいいのかな?


 またユウちゃんと二人きりになっちゃった。将太くんが部屋に戻らずここにいてくれたら、話せる話題が増えたのに......でも、上級生の私がクヨクヨしてたら、ダメだよね! 何か話題ないかな?


 私が何について話すか考えていると、ユウちゃんがおもむろに口を開いた。


「あの......霞先輩は、好きな方とかいらっしゃらないのですか?」


「私? うーん、今はいないかなぁ」


 いい人いないんだよねー。


「そ、そうですか......てっきり、霞先輩が柴垣先輩に片想いしているのだと思ってました」


「光瑠に? いや、あーでも、そんな時期もあったかなぁ」


 私の言葉を聞いてユウちゃんが真ん丸い目を見開いて「ええ!?」と声をあげて驚いていた。まあ......そうだよね、相手が光瑠だもんね。


 でも変な誤解のないように、ここは私のためにも、光瑠の名誉のためにも、きっちりと説明しておかないと!


「い、いいい、今は好きじゃないよ! 普通というか......友達? みたいな距離感というか...」


「と、友達ですか...? 友達にしても結構、距離が近いですが...?」


「ああ、まあ元々、幼馴染だったし、それもあるかも」


「なるほど...」


 ユウちゃんが「幼馴染っていいなぁ」って目を細めて呟いている。

 

 いやいや、幼馴染なんていてもいいことないよ!? 少女漫画のようなキャッキャウフフな展開なんてないし...


「ところでユウちゃんは将太くんと仲が良いけど、幼馴染だったりするの?」


「いえ、そんなことはないです。小学校の時に怪我している将太くんに絆創膏を貼ってあげたら、懐きました」


 懐いたって...野良猫みたいだなぁ。っていうか、将太くんにそんな可愛いエピソードがあるなんて......意外だなぁ。


「で、そこから仲良くなって感じ?」


「えっと、まあそんな感じです。でも、今みたいに話すようになったのは、中学生の時です」


 中学生の時? でも、小学校の時に懐いたって言ってたし...


「そっか...」


 私はコテージの天井に目を向けた。木材の匂いが鼻に入ってくる。深呼吸をしていると、ユウちゃんが「霞先輩」と声をかけてきた。


 ユウちゃんに視線を向けると、ユウちゃんが頬を紅く染めていた。そして口をモゴモゴとさせた。


「あと...さっき、ここで話していたことですが、実は...」


 おお〜! もしかして、ついにユウちゃんが将太くんをどう思っているのか、分かるのか!!


 ユウちゃんの言葉を待っていると、洗面所のドアとリビングのドアが同時に開いた。


「ユウ! 大丈夫か!?」


「霞! これは一体どういうことだ!?」


 なんてタイミングなんだろう。光瑠と将太くんがほぼ同時にリビングに足を踏み入れた。それにしても、今じゃない!! やっと聞けると思ったのに!


 そしてタイミングよく、何の音かは分からないけど、とにかくすごく大きな音がした。


 ガン バキッ


「ぎゃあああああああああ!!!」


「ヒィ!」


「うお!」


「あ゛!?」


 何かわからないけど、すごくビックリした。みんなも同じようにビックリしたみたいだし。


「何? 今の...」


バチッ


 その音と共に、目の前が暗くなった。

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