第9話 コテージの噂
バスが停まって、アナウンスが流れた。
『ただいまコテージに着きました。雨がたくさん降っているので、グループの順番に呼びますので、その人たちから来てください。なお、何かあれば各部屋に付いてます電話でご連絡ください。では、小学生のAグループから来てください』
グループ順か......
「グループということは、僕たちが最後か」
「そうだね」
困ったなぁ。何を話せばいいのやら...
私が話題に困っていると、光瑠の後ろに座っている将太くんが身を乗り出した。
「さっきさ、小学生がおもしれー話をしていたんだけど、聞くか?」
頭上から将太くんの声がする。将太くんのいう面白い話ってなんだろう?
「面白い話?」
隣にいた光瑠が話に食いついたのを見て、将太くんはニヤリと口はしを少し上げた。
「実はここ、出るらしいんだよ」
夏に出ると言えば、もしかして...
「出るって?」
将太くんに恐る恐る聞くと、将太くんは思い切り笑った。
「アッハッハッハ! 何って! コレだよ、コレ」
将太くんはそう言って、手を前に持ってきて幽霊っぽいポーズをした。それを見た光瑠が鼻で笑った。
「ハッ! 馬鹿馬鹿しい。いるわけないだろう? まさかだと思うが、小学生の話を本気にしたのか? くだらない」
そんなに言わなくてもいいんじゃない? こういうキャンプとかって怖い話が付き物だし、あった方が面白いし、私は良いと思うけど
「お? もしかして柴垣、怖いのか?」
「は?」
待って、将太くんそれ以上はまずい!
「ひか...」
「柴垣って、おこちゃまだなぁ。こういうのって怖い話があった方が面白いし、テンション上がるんだよ」
あー、間に合わなかったか。どうしよう、光瑠がまた将太くんと喧嘩になっちゃう!!
そう思って、光瑠に目を向けたものの...なんか震えてない? 光瑠の顔をチラッと見ると、なんか顔色が悪い気がする。まさか...
「光瑠ってお化けとか怖いの?」
私の問いかけに光瑠はパッと顔を上げた。
「そ、そんなわけがないだろう!? この僕が、幽霊が怖いなんてことはない!」
うん、その割には顔が引き攣ってるけどね。
「ホントか? その割には震えてるじゃねえか」
将太くんのツッコミに光瑠が慌てたように、言葉を続けた。
「いや、これは...アレだ。バスの冷房が効きすぎて寒いんだ」
言い訳に聞こえるなぁ。しかも今、冷房ついてないし。
私が光瑠に声をかけようとした時、案内係が私たちに声をかけた。
「高校生の皆さま、お待たせいたしました。雨が降っていますので、気をつけてお降りください」
荷物を持って、将太くん、ユウちゃん、光瑠そして私の順に降りた。
バスの通路を通っていたユウちゃんは、何かに怯えているような顔をしていた。
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