第8話 Which do you like???
「だーかーらー、猫か、犬かっつったら、猫って言ってんだろ!!」
「いーや、ここは僕も譲れないな。やっぱり犬が一番だな」
はい、私は猛烈に反省してます。フラグを立ててすみません。
ただいま、バスの中です。席順はキャンプ場に向かっている時と同じ。だから、後ろに光瑠の後ろに将太くんがいて、その隣にユウちゃんがいる。で、ユウちゃんの前に私が座っているといった感じだね。
最初の5分は静かだったんだよ? 最初の5分はね。暇だから雑談しようって将太くんが言い始めた時はまだよかったよ? でも、途中で犬派か、猫派かっていう話になって...今に至るって感じかな。
二人に言い争いを見た私の感想はコレ↓
どっちでもいいじゃん...
しかも、ユウちゃんに限っては窓の外を見て現実逃避してるし......よし! やっぱりここは寝てやり過ごすか。
そう言って目を閉じようとした時、隣にいた光瑠に揺さぶられた。
「霞もそう思うだろう?」
「ちょっと! いきなり揺さぶらないでよ! そう思うって??」
あ、まずい。聞いてしまった。
「犬が一番、可愛くて麗しゅう生き物ということだ」
麗しゅうって、お嬢様感がすごい滲み出てるし......
犬かぁ、犬......ん? あれ? 光瑠って猫が好きって言ってなかったっけ?
「前は猫派だったのに、どうしたの?」
「え? 柴垣って猫派だったのか?」
「い、いや......これは、特に理由はないというか...」
犬ねぇ、犬っぽい人......あ。
「もしかして......小春のこと、まだ引きずってる? 振られたのに?」
「霞! 言葉を慎みたまえ、相手に彼氏がいるからなんだ? 好きであり続けてもいいじゃないか!」
「いや、だって......振られたのは、どう考えても光瑠が悪いじゃん」
「なぜだ!? あんなに完璧だったのに?」
完璧??? アレが???
私と光瑠で話していると、将太くんが眉間にシワを寄せていた。
「こはる...? 誰それ」
小声で「浮気...?」って言ってるし...
「小春は後から来るよ。その彼氏と一緒に」
「マジか、で? 柴垣は彼氏持ちの女子に告白して振られたってことか?」
「ま、まあ、事実ではあるな。しかし...」
言葉を続けようとする光瑠に将太くんは、光瑠にトドメになるような一言を言い放った。
「で、振られたのにも関わらずまだその恋を引きずって、猫派だったにも関わらず、その人が犬に似ているからって理由で犬派に寝込んだのか? 柴垣、正気か?」
将太くんの強めのパンチに光瑠は遠くを見ていた。珍しい......あの光瑠が黙っちゃった。もしかして図星...?
「まあ、そんな感じだね。ユウちゃんはどっちが好きとかある?」
「わ、私ですか?」
いきなり話を振ったのは良くなかったかな? でも、ユウちゃんの話も聞きたいし。
「わ、私はそうですね。ウサギです」
「う、ウサギ? 犬と猫の話をしてたんだけど...」
「はい。知ってます。でも、私は犬とか猫よりもウサギが好きです。それに誰がどの動物が好きかっていうのは、自由じゃないですか」
「確かにそうだね」
ユウちゃんの話に将太くんと光瑠が気まずそうに口を閉じた。
どうしよう、気まずい。何か別の会話をした方がいいかな。私が話題を探してると、バスが停まった。
外を見ていたユウちゃんが言った。
「こ、コテージに着いたみたいです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます