第4話 あなたたちは...!?
こんな軽い気持ちで来るべきじゃなかったかもしれない。
玄関口に着いて私はそう思ってしまった。隣にいる光瑠を見ると、渋そうな顔をした。
玄関口に集まったのは私と光瑠、
それから......
「は? お前ら高校生なのかよ!? あんな痴話喧嘩で騒いでいたのに!?」
「し、将太くん、失礼だよ! 先輩だったらどうするの?」
バスの中で妙に光瑠に喧嘩腰なあの男子とあの弱々しい女の子だった。
スゥ
気が遠くなりそう。
ふと係員を見ると、光瑠と将太くん(?)を見て、慌てふためいていた。
「自己紹介とかは、後にして! とりあえず調理場所に行こうよ!」
「そ、そうですね。ほら! 将太くん行こ」
彼女は将太くんを、私は光瑠の首根っこを掴んで、係員に案内された場所へと向かった。
向かった先は野原ではなく、綺麗に整備された調理室だった。なるほど、日焼け対策かな?
「なんだ、中かよ。なんで外じゃないんすか?」
なんだ、将太くんもそこそこ丁寧な話し方ができるじゃないか。
将太くんの純粋な疑問に係員はオドオドしつつも、丁寧に答えていた。
「実は先週の大雨により、地面がぐしょぐしょでして......後は、親御さんから熱中症を心配する電話が今年は相次いでおりました。年々、日差しも強くなってきてますし......。そこで今回は屋根の下でのカレー作りになります」
な、なるほど。係員さんも大変なんだ。
申し訳なさそうに答える係員さんに光瑠が営業スマイル(っていうか絶対営業スマイルでしょ)のような顔で係員さんに言った。
「そんなに申し訳ない顔で答えなくてもいいですよ! 確かに年々、地球温暖化の影響で熱くなっておりますし、熱中症対策にもなります。僕としては、開催できただけでも十分うれしいです」
光瑠の言葉に自信を待ったのか、係員さんは「ありがとうございます」と一礼してから、次の案内を知るために調理室を出ていった。
調理室に再び静かな沈黙が訪れた。
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