第4話 釜ヶ崎撤退

信長軍、朝倉討伐へ進軍。

釜ヶ崎の峠にて、敵方朝倉勢を圧倒していた信長に、突如として飛び込んだ報せ。


「――浅井が、裏切ったと……!?」

「信長公! 背後より浅井軍、急行中! 挟撃されまする!」


想像だにしなかった裏切り。

信長の目が鋭く細められる。


「ちぃ……裏切りか、長政……!」


その時、霧の中に一人の老人の幻影が現れる。

それは信長の祖父とも言われる存在、“織田影長(おだかげなが)”。

死してなお、信長を見守り続ける魂の導き手であった。


「退け、孫よ……お前はまだ“死ぬ時ではない”」


その声に導かれるように、信長は撤退を決意。

釜ヶ崎を越え、比叡の山へ逃れるしか道はない。



時を同じくして――


バラム一行も、この地に居合わせていた。

明さんが声を上げる。


「浅井の軍が来る……! このままじゃ信長様が挟まれてしまう!」


カシはにやっと笑って背負い袋から何かを取り出す。

「まかせて。罠の迷路で、軍勢の足止めしちゃうよ!」



カシの罠、稼働!


敵の通るであろう峠道に、カシが布陣する数々の罠。

 崖崩れを誘発する鳴子杭

 部隊を分断する偽装橋の落下トリガー   馬を驚かせ混乱させる幻音石(げんおんせき)


罠にかかった浅井軍は大混乱。進軍は大幅に遅れる。



明さんの援護、バラムの後衛斬撃


「来たッ! 撤退路に朝倉の追撃!」


明さんが閃光榴弾を放ち、追撃兵を幻惑。

バラムは剣で敵の突破部隊を切り払い、道を守る。


「行け、信長……道は開けた」



退却成功 ― そして次の戦いへ


こうして信長は、重臣らと共に無事、釜ヶ崎からの撤退に成功する。

その背後に、祖父の導きと、薔薇夢たちの影があったことを、信長は深く胸に刻んだ。


「俺は生き延びた……お前たちの“未来”を見るためにな」


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