社会の法規を守る者が犯罪者へ超絶的な能力をふるう物語です。
自然の法則にすら従わない能力を有する主人公。
そんな人類を超越した存在の活躍を描きます。
本作は、作者がある日見た夢を元にした物語です。
美術館から状況がわからないままに始まり、コマ落としのように進むストーリーは唐突な展開を経て終わります。
まさに元型は夢。そう思わせる脈略を経ない筋運びです。
読む者は五里霧中のなかで幻想をみたような読後感を味わいます。
その印象は強く残り、物語全体を振り返ることとなるでしょう。
その感覚こそが、本作品の鑑賞の妙味といえるでしょう。
強い作家性に裏打ちされた幻想奇譚です。
御一読をおすすめします。