■第4話「受け止めて、世話を焼く」

■第4話「受け止めて世話をする」


 ちゃっぱが人間の女の子の姿になって、早三日。

 俺、更 正人、20歳の社会人。

 一人暮らしリーマンの部屋には、なぜか今——


「ご主人様、洗濯終わったにゃんよ〜」


 猫耳しっぽの少女が、エプロン姿で俺の靴下を畳んでいる。


「……いや、俺の猫だったよな……?」


「にゃ? 猫だったにゃん。でも今は……人間風、ちゃっぱにゃ♡」


 可愛い、素直、しかもなついてて甘えてくる。

 あのふわふわのしっぽと、ぴょこぴょこ動く猫耳を見てると、俺の理性がもたない。


「……てか、服どうしてんの?」


「昨日ネットでぽちったにゃ。ご主人様のスマホ、ちゃっぱ触れるにゃ」


「うぇ?、それ勝手に!?」


「にゃふふ〜、ちゃっぱ、賢いにゃん」


 なんだこれ……完全に“猫系彼女”じゃん。


 でも、当然ながら人間の女の子だから、生活にはいろいろ気を使う。


「お風呂は? 一人で入れる?」


「んーと……昨日水あそび楽しかったにゃ。泡がもふもふしてたのにゃ」


「……俺が一緒に洗ってあげた方が早いか……」


「ご主人様が洗ってくれるにゃん!?」


「い、いや、言ってみただけ!」


 ぐいっと近寄ってくるちゃっぱ。

 俺のシャツのすそをちょこんとつまんで、見上げてくる。


「ご主人様、今日もおしごと、がんばってにゃ……」


「……ありがとう。帰ってきたら、ちゃっぱと一緒にご飯食べような」


「うにゃ♡」


 ちゃっぱは小さく手を振って、尻尾をふわふわ揺らしながら見送ってくれた。

 俺はドアを開けながら、思った。


——この生活、意外と悪くないかもしれない。

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