EP 10
「初のパーティー任務」
新たな装備に身を包んだリュウは、セーラと共に再び冒険者ギルドの門をくぐった。昨日とは違う、引き締まった空気を纏うリュウの姿に、酒場の冒険者たちが幾人か視線を向ける。だが、リュウはそれを気にするでもなく、まっすぐに依頼掲示板へと向かった。
薬草採取、鉱石の運搬、行方不明のペット探し…。無数に貼られた依頼書の中から、二人は自分たちの初仕事を探す。
「どれにする?リュウ?」
セーラが尋ねると、リュウは一つの依頼書を指さした。
「うーん、これだな。『街道近くの森・ゴブリン討伐』。まずは慣れた相手で、この飛燕の感触をしっかり確かめたいし」
いきなり強敵に挑むのは無謀だ。まずは着実に、自分たちの実力と新しい武器の性能を見極める。その堅実な判断に、セーラはにっこりと頷いた。
「そうだね。それが一番だと思う」
二人はその依頼書を剥がし、受付カウンターのルナの元へ向かった。リュウの姿を見たルナは、ぱっと顔を輝かせる。
「まあ、リュウ様! とても素敵な装備ですね。すごくお似合いです」
「ああ、ありがとう。ルナさん、このゴブリン討伐の依頼を受けたいんだが」
リュウが依頼書を差し出すと、ルナはプロの顔つきに戻り、手際よく内容を確認し始めた。
「はい、『近隣の村からの依頼・ゴブリン討伐』ですね。詳しくご説明します。場所はアルクスから東へ半日ほど歩いた森です。最近、そこを根城にしたゴブリンの小集団が、村の畑を荒らしたり、旅人を襲ったりして困っているとのことです」
ルナは地図を広げ、場所を指し示しながら続ける。
「報酬は、討伐の証であるゴブリンの右耳一つにつき、銀貨5枚。注意点として、森の奥にはより強力なホブゴブリンがいるという報告もあります。決して深追いはなさらないでくださいね」
「分かった。気をつける」
「了承しました。では、こちらの用紙にサインを。リュウ様、セーラ様、お二人の初めてのパーティー任務、ご武運をお祈りしております」
ルナの温かい励ましに見送られ、リュウとセーラはギルドを後にした。
太陽が高く昇り始めたアルクスの大通りを、二人は並んで歩く。腰の飛燕に手をやり、その感触を確かめるリュウ。その隣で、信頼するパートナーを見つめ、静かに祈りを捧げるセーラ。
二人の冒険が、今、本当に始まろうとしていた。
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