第25話 こいつは何!?
お兄様達まで外に出て行った。
外で何が起こっているの!?
この場所からは何も分からない。
——よし! 私も外に出てみよう。
魔導船の甲板に出てみると、そこにいたのは真っ黒い大きな黒竜。
そんな大きな黒竜が、魔導船に体当たりしていた。
「はぁぁぁぁ!? なんで竜!?」
「レティ! 危ないから出てきたらダメだ」
アレクサンダーお兄様が私の前に立ち、船の中に戻れと去なす。
それは分かるんだけれど。
空を飛ぶ竜に、どうやって戦うというの!?
地上なら勝ち筋も見えようなもんだけど、ここは空。最強を誇る剣での戦いで挑めない。
赤い狂騎士達は、この黒竜とどうやって戦うの!?
戦闘を模索してる最中も、黒竜は魔導船に向かって、何度も体当たりをしてくる。その衝撃の度に魔導船が激しく揺れる。
地面に降りていたら、赤い狂騎士たちも勝ちようがあるだろうけれど、今は空の上。
こうなると……魔法攻撃しかない。
だけど、魔法で攻撃をしているも、うまく避けられ黒竜に魔法が当たってない。
当たったとしても、対して対して効果がない。
この黒竜かなり強い。これはやばいレベルでは?
空の戦いって、どう戦ったら良いの!? みんな初めての空の戦いなわけで。
お父様達は声には出さないが、焦っているのが分かる。
そんな状況下の中。
『ぬぅぅん? 気持ちよく寝てたっちのに……うるさいっち』
「おもち!」
すやすやと、気持ち良さそうに寝ていたおもちまで、甲板に出てきた。
今のこの状況では、ぐうたらおもちが天使に見える!
おもち様、この状況をどうにかしてください。
『あいつがうるさい原因っち?』
おもちが嫌そうに、黒竜を睨む。
『お前なんで、体当たりするっちぃぃぃ』
おもちが黒竜に向かって威嚇する。
おもちの威嚇に、黒竜が一瞬怯む。さすがおもち! 黒竜まで脅かすなんてさすが最強フェンリル様。
『ぬぅぅん? あの竜、ここに近寄るなって言ってるっち』
「え? ここに近寄るな? それはどー言う事?」
『う〜ん。何かを守ってるみたいっち』
何か? 魔導船がこの黒竜を怒らせる何かに近づいたって事?
一体何があるの?
全く分からない。
「……あっ!」
黒竜の周りをよく見ると、後に小さな子供? が三匹怯えている……ん!?
あれ!? もしかして……
一匹の小さな黒竜を、二匹の黒竜が支えて飛んでいる。
支えられている黒竜の背中には羽がない……トカゲみたいな見た目になっている。
飛べない黒竜を守るために、大きな黒竜が魔導船にぶつかっている?
「ねぇ、おもち。黒竜は子供を守ってるのかな? 私たちは子供に何も危害を加えないって伝えてくれない?」
『んん? 分からんっち。聞いてみるっち。お前は子供を守ってるっち? わりぇはお前達に危害を加えないでち』
おもちが叫ぶと、黒竜の体当たりが止まる。
『あの竜は子供達を守るって、言ってるっち』
なるほど、やはり子供を守りたいんだ。
予想でしかないけれど、空で子供の体を心配していた所に、私たちの魔導船がいきなり現れ慌てたのかな。
なんであの子供は羽がないのだろう?
羽を戻してあげれることって出来ないかな?
「叡智、小さな竜の羽を元に戻すことってできる?」
ピコン!
——出来ます。創造魔法で【肉体再生】を創ると再生可能です。
出来るんだ! 羽を治せるんだ。
——【肉体再生】創りますか?
もちろん! そんなのOKに決まってる。
「【肉体再生】作ります!」
よし、これで小さな竜を治してあげられる。
「おもち、小さな竜の羽を治してあげるから、攻撃するのやめてって伝えて!」
『ぬぅ? 分かったっち』
おもちの言葉に納得したのか分からないけれど、黒竜はおとなしくなった。
よし! 創造魔法使いますよ。
「《肉体再生》」
私が魔法を使うと、小さな竜の羽が再生される。創造魔法すごい!
小さな竜の羽が元通りになり、それには大きな黒竜も驚く。
『あるじぃ、黒い竜が『お前何したんだ』って驚いてるっち。だからあるじが治したって言っといたっち』
小さな竜の羽を治すと、黒竜の攻撃は止まりおとなしくなった。
これには、お父様や赤の狂騎士達が驚き、何が起こったんだと固まる。
その後、お前の仕業かと言わんばかりに私を見る。
ええと……確かに私ですが。
お前、何やったんだと言わんばかりの目で見るの、やめてくれませんか?
「レティ? 一体何が起こったのか説明してくれないかい?」
「お父様……」
お父様が聞いてきたので、子供を守るために威嚇してきたとか、子供の羽を治したらおとなしくなったと伝えると。
「「「「はぁぁぁぁ!?」」」」
どうやらその行為は普通ではなかったらしく、お父様たちが驚愕して固まる。
なんだかすみません。
全ておもちからの情報なんです。言われた通りににしただけなんです。
「……私にも、黒竜が何を言っているか、分かれば良いのになぁ。そんな都合のいい魔法はないよね」
ピコン
——あります。【
え? そうなの!?
——創造魔法
黒竜と話せるなら、創るに決まってる!
「もちろん!」
よし! 話せたら、色んな事を聞けるはず。
「《使役》」
『ファ!? 我を使役することができる者がおるとは……』
急に黒竜の言葉が分かる。使役された事に驚いているけれど、話せるようになる手段だよ? 大した事はしてないよ?
『お主の名はなんと言う?』
「え? 私の名前はレティシアです」
『ふむ。我は其方に一生を尽くそう』
黒竜はそう言って私に頭を下げた。
え? 一生を尽くす!? そんな大袈裟な。
話ができるようになっただけだよ?
もしかして、使役って、そのままの意味なの!?
★★★
更新時間が遅れてすみなせん。
よく分からずにテイムしちゃいました。この黒竜とおもち仲良くなれるのかな?
続きを楽しみにして頂けると嬉しいです。
少しでも「次が気になる」「面白い」と思って頂けたなら、作品フォローや♡、⭐︎評価で応援していただけると嬉しいです。
何卒応援よろしくお願いいたします。
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