第23話 テーバイ陛下からのお願い
急に、「テーバイ帝国に来てくれ」って、見当違いな事を言われたのだけど。
その答えは、お父様の説明の返事に全くなってない。
国王陛下? 一体何を考えてるの?
——あっ! もしかして……第二夫人イライザ様の呪いを、解呪してほしいとか!?
それなら納得がいく。でもなんで解呪してほしいんだろう? どう考えても、今さらライオスを呪った悪役を、回復させる事になんの意味があるのだろうか?
じゃあ違うかぁ……
「なぜレティシアに、テーバイ帝国に来て欲しいと? 話が飛躍過ぎて……少し理解に苦しむのですが」
お父様が、理解できないからと、説明が欲しいアピールをしてくれる。
ほんっと! それです! お父様ナイスです。
「すまない。レティシア嬢のスキルを聞き、余りに興奮してしまい、説明を省いてしまっていた」
国王陛下が私たちに頭を下げた。こんなことをするなんて、よっぽどの事態なのが伝わる。
「実は……正妃マリアンナも、ライオスの呪いからすぐ後に謎の病で寝込み、この三年寝たきりで部屋から出てないんだ。もしかしたら、マリアンナにも何かの呪いがかけられているのではないかと……図々しいのは承知でお願いする。それをレティシア嬢に調べて欲しいんだ」
なんと、ライオスのお母さんまで寝込んでいたなんて。これも第二夫人イライザの仕業だとしたら、まっじで性格クソすぎるんやが。
話を聞いていてあまりにも腹が立ち過ぎて、気がつくと私は。
「はい、行きます! 正妃マリアンナ様の病気の謎を、【叡智】で解いて見せます」
などど啖呵をきっていた。
「はえぇぇぇぇ!? レティ!?」
「あああっ、レティシア嬢……感謝する」
動揺するお父様に反して、歓喜に満ちた顔で私を見てくる国王陛下。
興奮のあまりやってしまった……
お父様は、なんで勝手に発言したんだと、相談とは!? っと目で訴えているのが分かるので、右側が見れない。
すみません。あまりにもムカついて、考えずに発言してしまいました。
「レレレッレティ、本気かい?」
「お父様に相談なく決めてしまってすみません。ですが……何年も謎の病で苦しんでいる人がいると聞いて、放っておけなくて」
私がそう答えると、お父様は右手で頭を押さえ大きなため息を吐く。
「はぁ〜……決断力の速さ。それがレティの良いところでもあるからな。厄災の魔王の時もそうだったし……分かった。分かったよ。幸いな事に、魔導船も頂いた事だし、テーバイに行来きしやすくなった。……よしテーバイに行くか!」
お父様のお言葉を聞き、国王陛下が立ち上がって握手を求める。
「ダクネル!! ありがとう、ありがとう」
お父様は国王陛下の手を握り返した後、私の方を見る。
「いえいえ、お礼はレティシアに言ってあげてください。私はただの付き添いですからね」
「そうだな。レティシア嬢。本当にありがとう。テーバイに来てくれた時は、最高級のおもてなしをするからね。楽しみにしてくれたまえ」
国王陛下は私を抱きしめ、たくさんのお礼を言ってくれた。
なんだか照れくさいです。
「レティシアありがとう。お母様の病気を見てくれるなんて! 僕嬉しいよ。それにテーバイでもまた会えるなんて、楽しみだよ」
ライオスからもたくさん感謝され、私たちは部屋を後にした。
テーバイ帝国に行く日程の予定などは、後でお父様たちで決めるそうだ。
初めての王都でもワクワクしたのに、次はテーバイ帝国。どんな国なんだろう。
砂漠の王国って言われているくらいだから、砂漠に囲まれているのかな?
今までずっとドンバッセル領にいたから、急に色んな場所に行けるようになってなんだか嬉しいな。
部屋に戻ってきたら、お兄様たちから質問攻めにあった。
「大丈夫レティ? 何もされなかった?」
「意地悪されなかったか?」
「あの三兄弟は性格がクソだからな」
「なんかされても僕がやっつけてあげるからね」
三馬鹿トリオに意地悪されてないか、すっごく心配していた。
どうやらあの三馬鹿は、お兄様たちも知ってる有名人なんだとか。
もちろん悪い意味で。
我儘で乱暴者、さらに他国の皇子なので誰も文句が言えない。
なので、エンディバン王国でパーティーに出席しても誰も近寄らないらしい。
私は昨日会ったことや、今日の出来事をお兄様たちに話した。
それを聞いたお兄様たちは。
「三兄弟を殴って吹っ飛ばしただって!? さすがは俺たちの妹だな」
っと長男アレクサンダーお兄様が、私の頭を撫でながら大喜び。
「あははっ見たかったなぁ殴られているところ」
っと次男リンネお兄様は腹を抱えて笑っていた。
お兄様たちと三兄弟の話で盛り上がりなかなか次の話に進めなかった。
その後ライオスの呪いの話になり。
「呪いをかけたのが三兄弟の母親とか……クズなのは親子そろってか」
「レティが呪いを解呪してあげれてよかったね」
「厄災の魔王の力が、早速役に立ったね」
みんながライオスのことを心配していた。お兄様たちはみんな優しい。
そうそう、テーバイ帝国に行く話もしなくては。
「魔導船に乗って、テーバイ帝国に行くことが決まったんですよ!」
「えっ!? なんだって!? テーバイ帝国に!? 俺行った事ないから楽しみだぜえ」
アレクサンダーお兄様が歓喜の声をあげる。
するとそこに、お父様からの衝撃的な一声。
「んん? アレクとネイトにリンネは学園に行かないとダメだろう。もうすぐ長期休暇が終わって、学園が始まるからな」
「嘘だろー!! テーバイいきたいよ」
そう、アレクサンダーお兄様は十四歳、リンネお兄様とネイトお兄様は十二歳になったので今年から学園に通っているのだ。
十二歳から十六歳までの四年間学園に通うことが、貴族の子息令嬢たちは義務付けられている。
「ふふふ。僕がレティの護衛をしながら、テーバイ旅行楽しんでくるね? お兄様たちお勉強頑張ってね」
「「「ジュエルゥゥゥ!!」」」
ジュエルお兄様がみんなを煽るもんだから、お兄様たちから羽交締めにあっていた。
「あはははっ」
「ちょ!? レティ笑ってないで助けてよ〜」
「ジュエルお兄様? 自業自得です」
「そんなぁ〜!!」
テーバイ帝国楽しみだなぁ
★★★
読んでいただきありがとうございます。
国王陛下の様子がおかしい。それは次話にて全てが分かるかと。
次も楽しみにしていただけると嬉しいです。
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