王国の片隅、《禁じられた森》。
その深奥に、王家すら近づけぬ「スターチス村」が存在する。そこに育った少女・ライラは、母の反対と村の掟を超えて、初めて外の世界――王都を目指す。
外界のすべてが「初めて」だった。
両替の仕方も、宿の仕組みも、注文のマナーも。
だが持ち前の魔法と純粋さで、ライラは一歩一歩、自分の世界を広げていく。
そして彼女は出会う。
寡黙な騎士ルーカス。
飄々とした警備隊員クリフ。
そして、王家の第三王子・ウィリアム。
それぞれの立場と思惑が交差する中、彼女の隠された「出自」が、静かに世界の歯車を動かし始める。
王家と結ばれし一族。
禁じられた森の真実。
そのすべてが、ライラという少女に繋がっていた。
これは、まだ何も知らない少女が、
『世界に知られていく』物語。