星空の夜に。
玉置ぽえた。
第1話
けいくんは、ある晴れた夜、お母さんを家の外へと連れ出しました。
「お星さま。キレイだね~!」
けいくんが最近引っ越してきたこの街は、背の高い建物はほとんどない、穏やかで静かな場所でした。
昨日、お布団に入って眠る前に、お母さんが
「この街は夜に灯が少ないから、星がとってもキレイに見えるんだって」
けいくんは、お母さんからその話を聞いて、今夜星を眺めるのをとても楽しみにしていたのでした。
星座のことはよく分からないけど、夜空にキラキラと輝くたくさんの星たちに、けいくんは釘付けです!
そうしてしばらく星空を眺めていると、目の前に小さな光が集まってきて、それはあっという間に空へと続く階段へと姿をかえました。
「お母さん、一緒に上ってみようよ!」
「うん」
2人は手を握って、そうっと階段の一段目に足を置いてみましたが、なぜかお母さんだけ、階段から足がすり抜けてしまいました。
「きっと、けいくん専用の階段なのね」
「いってらっしゃい、お母さんはここで待ってるから」
そう言って、お母さんはけいくんの手を離しました。
「わかった!ぼく頑張る!」
けいくんはちょっと不安でしたが、1人で空へ続く階段を駆け上がっていきます。
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