第2話 受付
柳楽さんに話しかけられてから2時間後・・・
柳楽『到着いたしました!』
小太郎『あー、ここですか。』
柳楽『知っとんの?まぁでもここ有名やもんなー。多分。知らんけど。』
何?知らんけどって。
ここは自分が住んでいる家から車で15分ほど離れたところにある
わりと栄えている街中の式場、シャペル風で今どきの結婚式場だ。道路からまず見えるのは大きな金属の門。夜には建物と敷地を囲っている柵全部に施されているイルミネーションが年中光っている。
よくどこにでもある普通の結婚式場。
柳楽『そこ入ったら受け付け済ませて、あとは中で待機しててください。お願いします!』
小太郎『あ、はい。』
急展開でここまで来たにしては普通な気がする。あまりにも普通。
もしかしたら本当に式に呼ぶ人がいなくて困ってただけか?
ガシャ・・
場内に入る。
え?
めちゃくちゃ人いるんだけど。
そこには受付を済ませて式を待っているような人が何十、どころか数百人はいる。ロビーには溢れんばかりの人々が。
え?どういうこと?
まずい、なにか嫌な予感がする。これは絶対まずい事に巻き込まれている。
スタッフ『こんにちは、受付ですか?』
小太郎『・・・・・あ、はい。そうです。』
案内されるがままに足を進めてしまっていいのか考えている間に受付の前に来てしまった。
受付嬢『こんにちは。・・・柳楽様のご友人様でしょうか?』
小太郎『あ、はい。』
受付嬢『本日はありがとうございます。お名前をお願いします。』
小太郎『曽根小太郎です。』
受付嬢『曽根様、・・・はい・・・柳楽様の同級生の方ですね。』
小太郎『はい。・・・これ、お願いします。』
柳楽さんに渡された祝儀の袋を渡す。
受付嬢『あ、はい。ありがとうございます。ご祝儀ですね。』
その受付テーブルの奥にもう一人スタッフがいた。祝儀を管理している人みたいだ。
え?
とんでもない数の祝儀袋が積み上げられている。・・・
100袋以上はある。それにさっきロビーにいた人たちはいったい
小太郎『あのすいません!』
受付嬢『はい、なんでしょうか?』
小太郎『あのー、今日は何人くらい柳楽の式に来てるんですか?』
受付嬢『えー、予定では柳楽様のご式には520人参加、となっています。』
小太郎『520!?』
これはあかんやつや。これは絶対なにかに巻き込まれてる。
受付嬢『今どき30人でも参加されたら多い方ですが・・・、500人越えはこの式場で初ですね。私どもも全力ですよぉ大変です。』
『あのすいません、次自分いいですか』
後ろを見ると今から受付をしようという人の列が出来ていた。
さっきロビーにいたのは多分100人ちょっと。それでも相当な人数に見えたが
ここからまだまだ・・・
もしかしてここに来てる人全部、自分と同じように集められたんじゃ・・・
?『・・・曽根?』
小太郎『・・?おー、北野』
北野『久しぶりやなー、・・・元気やったけ?』
北野は俺の釣り友達。地元の釣り場で毎度顔を合わせるものだから話をするようになって以来、予定が合えば一緒に釣りに出かける仲だった。
だった、というのはここ最近はお互いにやる釣りにもマンネリ化していて一緒にやる楽しさがあまりなくなっていたからソロ釣りするようになって
最近では一緒に出かけることも無くなっていたからだ。
北野『んとー・・・お前も柳楽さんの友達やったんか?』
小太郎『あー、そう。家も近くて。ご近所付き合いって感じで。』
北野『そうなんや・・。』
耳を寄せろと近づく北野。
北野『・・・俺は昨日会ったばかりなんやけど』
あー、やっぱりそうか。
小太郎『お前もか。俺はさっき』
小さく話している途中で会場に流れている曲が変わった。
ん?
サーカスで流れていそうなふざけた感じの音楽。
おかしい、
数時間前までの日常とは違うところに来てしまったんだ。
今日結婚式をやるんだけど客に成りすまして来てくれないか? @kitamura1227
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