こんにゃくと指輪
まえとら
こんにゃくと指輪
最近、私たちは一緒に料理を作るようになった。
ふたりでキッチンに立って、たわいもない会話をしながら料理をする。
そんな何気ない日常の時間が、とてつもなく尊くて、幸せを感じるのだ。
「ねえ、このこんにゃく。手綱こんにゃくにして煮物にしようよ」
「おっ、いいね」
「お酒のおつまみに~」
「くう~!」
薄切りにした長方形のこんにゃくに、縦に一文字の切れ込みを入れる。
その切れ込みに、くるりとこんにゃくの端をくぐらせて……手綱こんにゃくの結び目のできあがり。
「縁結び~、なんちゃって!」
「あははは!なんやねんそれ!」
「ちょっと形、変?」
「いや、そんなことないって。ほら、こんにゃく指輪~、なんちゃって!」
「あははは!なんやねんそれ~!」
「って、ほら。薬指、かしてみて」
「え?」
「え?」
「え?」
「そろそろ、出かけよっか」
「うん」
薬指には、ささやかなダイヤモンドの婚約指輪が輝いている。
こんにゃくと指輪 まえとら @mae10ra
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます