封印国家ニッポン 真・日本列島改造論

歯車壱式

第一章 序 —— 封印国家ニッポンとは何か


 現代の日本は、世界でも稀に見る災害多発地帯に位置している。

 地震、台風、豪雨、津波──列島はまるで、自然の怒りを真正面から受け止めるように存在している。


 だが、奇妙な事実も存在する。

 これほど災害に晒されながらも、戦後以降の日本は、奇跡的に安定した国家運営を維持してきた。

 戦後復興、高度経済成長、列島改造計画──経済発展と共に、都市機能も次々と整備され、幾度の大規模災害を乗り越えてきた。


 この「安定」が、果たして偶然の積み重ねで成り立っていると信じられるだろうか?

 否──


 この国には「国家霊障炉」という、表には決して出ない、もう一つの国家中枢システムが存在している。



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■ 封印国家ニッポンの正体


 日本という国は、古来より「封印国家」として成立してきた。

 大陸からの渡来文化を取り入れながらも、独自の神道体系を育み、地霊・地脈・霊障流れいしょうりゅうを制御する文化を築き上げてきた。


 神社、祭祀、山岳信仰、水神信仰、死霊供養──

 それらは全て、霊障炉れいしょうろという国家結界炉を成立させるための部品であった。


 元来、日本列島は「霊的な負荷の高い地形」として知られていた。

 大陸と海洋の狭間に存在し、地下ではプレートが複雑に重なり、地脈が交錯する。

 それ故に、列島は豊穣の恵みと災厄を同時に受け続ける地となった。


 古代の神官達は、これらを御するために封印体系を築いた。

 伊勢、出雲、諏訪、熱田、熊野──日本各地の神域が、原初の結界炉核として働いていたのだ。



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■ 戦後の転換点


 だが、近代国家の成立とともに、この「封印国家機構」は制度上の表舞台から姿を消していく。

 特に敗戦とGHQ統治下により、国家規模の結界術体系はほぼ壊滅的に断絶された。

 神道は形式的宗教制度に矮小化され、封印炉理論の多くは禁忌の技術として隠蔽された。


 だが霊障流は止まらない。

 むしろ、GHQの進めた都市計画や土地整理によって地脈バランスは乱れ、

 戦後復興の裏側で、各地に小規模な霊障異変が顕在化し始めていった。



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■ もう一つの国家中枢——国家防災局特別課


 1952年、独立回復と同時に、この危機を察知した国家中枢は、極秘裏に「国家防災局特別課」を再編成した。

 表向きは防災技術研究を行うこの機関が、戦後新たな霊障炉国家計画の母体となっていく。


 そして間もなく発生することになる、伊勢湾台風──その災厄こそが、日本封印炉計画の実働を決定づけることとなる。

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