第4話 悪魔モルドレッド



剣と血にまみれた、霧深き戦場。

かつて栄えた円卓の騎士たちの聖地キャメロットは、今や死の城と化していた。

その中心に立つ一人の騎士――漆黒の鎧、赤く燃える瞳。


「我こそは、裏切りの騎士、黙示録の使徒・モルドレッド」


アーサー王を裏切り、王国を滅ぼした呪われし剣士は、今や悪魔の力に魂を売り、復活を果たしていた。


「王の理想など、現実には勝てぬ……俺はそれを証明するために、貴様を斬る!」


バラムが構えを取るその前に、銀の光が舞い降りる。



アーサー王、現界


「我が剣は未だ折れず。我が信念は未だ朽ちず!」


天より降り立つ、聖剣エクスカリバーの輝き。

王の風格をたたえた騎士――アーサー王が、盟友としてバラムの隣に立つ。


「バラムよ、我がかつての過ち……モルドレッドを討つ、その義は我が担う」


「王よ……共に行こう」


こうして始まるのは、剣と剣の真っ向勝負――

モルドレッドの魔剣クラレントと、アーサーの聖剣エクスカリバーが激突する。



剣と剣の戦いは五分――


力、技、速度――どれも互角。

互いに騎士道を知り尽くし、剣がぶつかるたびに火花が散る。


「貴様の理想は脆い! 現実を見ろアーサー!」


「貴様に裏切られたからこそ、私は強くなった……!」


そしてバラムも応戦するが、モルドレッドの悪魔の力により、剣は弾かれ、戦局は一時傾きかけた。


だが――そのとき、空が震える。



メイ、聖なる審判を下す


「神の正義は、剣よりも高く。罪の者よ、天より裁きを!」


バラムの背後に、光をまとった少女が立つ。

メイが両手に掲げるは、天界の神器――「天罰の杖(ロッド・オブ・ジャッジメント)」


天空に現れる巨大な光輪。そこから降り注ぐのは――


「審判の光(ジャッジメント・レイ)!」


白銀の裁きが、モルドレッドの悪魔の鎧を焼き尽くし、魔力を根こそぎ浄化してゆく。


「これが……神の、裁き……!」


呆然とするモルドレッドに、アーサーの声が静かに届く。


「汝、誇りを忘れた騎士よ。せめて最期は剣を持って終われ――」


そして、アーサーの聖剣が再び振り下ろされ、モルドレッドの影は霧散した。



戦後


キャメロットの地に、ようやく陽光が差し込む。

バラムはアーサーに向かって深く一礼した。


「剣の戦いも、魔法の裁きも……必要だった。ありがとう、王よ。そしてメイ」


メイはそっと杖を収め、微笑む。


「まだまだ、この杖の力は秘密がいっぱいあるんだよ」


アーサーは空を見上げて呟く。


「だが、悪魔はまだ終わらぬ。次に現れるは、“死”を司る者……」



次回予告


第五話「死の悪魔 ベリアル」

命を刈り取る漆黒の死神が現れる。

時を止める死の力に、バラムたちはどう立ち向かうのか――?



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