2025/7/17 空蝉

#文披31題 空蝉


ロープの下には、小さな虫が大量に転がっていた。

よく見ると、それはセミの抜け殻だった。

踏むとぱりんと砕け散り、足の裏に欠片が引っ付く。


床はセミで埋め尽くされ、歩く場所がない。

先ほどまで唸っていた獣はどこにいるのだろう。

無意味なものでこの部屋は埋め尽くされているのに。

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