2025/7/14 浮き輪

#文披31題 浮き輪


部屋に戻ると、弟が浮き輪をかぶっていた。

大きな輪っかが頭に乗っかっている。


「また海に行きたいな」


「大きくなったら、いつか行こう」


いつになるか分からないけど。言葉にしないまま、そっと抱きしめた。

声が聞こえなくなるまで、机の下でじっとしていた。

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