火葬場。
それは亡くなった人と『本当に最後のお別れの場所』。
不思議なもので、お骨になると
「あぁ、この人はもうこの世には居ないんだ。さよならなんだな」
と心に整理が付く。
本来は名残惜しくも送り出す場所だが、この小説では「訳あり」な火葬に遭遇する。
頼りになるベテラン藤戸さん、燻銀な渋いカッコよさがあって何があっても冷静で「まぁ、そんなこともある」と粛々と火葬を執り行うのに対して、資料を読み忘れたりとなにかとすっとぼけてるのに、最初はビビるのに決して逃げない肝の据わった狭山くんのコンビがいい味。
途中加入のミステリアスな美女、清澤さんもいいキャラなんですよ。……怖いけど。怖い美人は最高。
オムニバスホラーとして、納得のストーリー、作者さんの広い知識がふんだんに散りばめられていて怖さの中に納得、同情、憐憫があり実写のドラマで見たいと思う作品です。
暖かい部屋で真冬のホラーはいかがかしら?
火葬場の、滅多に知る事のない様な
不思議な こぼれ話 を、丁寧に拾って
納めた不定期連載掌編集。
湊火葬場では日々、人の死骸を焼く。
亡くなってしまっても、人はひとだ。だが
彼等は敢えて死骸として、焼く。
何故ならば、彼等はその道のプロ。
敬虔であって尚、その 仕事 に支障を
来してはならないのだ。
しかも、この火葬場。
何故か 曰く付き の客が多いのだ。
不定期連載であるが、その分の読み応えは
充分ある。そして目下三話目にして又
曰く付く。
火葬場職員の藤戸と狭山。彼等の
非日常的な日常…。
一体、何が出てくるのやら。
次の配信を楽しみにしてしまうが、これは
決して不謹慎な事ではないと思う。