夜と雨と、音と色と、舞台の世界

人の一生はそれだけで一つの舞台だ。

主人公は自分で、あとは皆全て脇役。

時間も、天気も、全てが舞台装置に。

自分を際立たせるためだけの音と色。

そんな機械仕掛けの舞台に今は一人。


今は第何章なんだろうか。

そういう演出なんだろうか。

他に出演者はいるのだろうか。

今見ているものは本物だろうか。

やがて疑問は尽きなくなる。


演じていたはずが、役に演じられている。

魅せていたはずが、観客に魅せられている。

完璧なまでの反転は手遅れとなった頃に気がつく。


自分が自分じゃない。

戯曲の海に落ちて、堕ちて、陥ちる。

やがて、目の前の景色が舞台の上だと見紛う。

いや、むしろ現実なのか。

境界線があやふやになっていく。


そんな夜と、雨と、音と、色と、が交わる舞台の世界に自分は独り。

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