Killer’s Love 〜血塗られた青春〜正体を知らない殺し屋高校生男女が紡ぐ物語

晴れドコロ(旧・どこにでもいる晴れ男)

第1章 秀才転入生2人の表と裏の顔

第1話 とある学園に現れた転入生

⚪︎武庄ヶ原学園高校 玄関前 (神視点)

 ここは私立「武庄ヶ原学園高校ぶしょうがばらがくえんこうこう」。ここは偏差値がとても高く、秀才の中の秀才しか入れない名門高校である。

 そんな高校に現れた男子生徒が1人。

 綺麗な薄紫の髪と俳優レベルに整った顔を持っており、常人とは違うオーラを感じさせる生徒。真新しい学園の制服に身を包み、細い切れ長の目を校舎へ向けている。

 彼の名は芹雅蒼琳(せりがそうりん)。今日からこの学園に生徒として通うこととなる高校1年生だ。

 彼は目の前に建つ立派な校舎を見上げて、口を開く。

「ここが、私立名門、武庄ヶ原学園高校か。なんとも立派で綺麗な校舎を持っているな…。今から、俺が通うことになる高校…どういったものになるだろうか…。」

 と女性、いや男性でもうっとりしてしまいそうな透き通る声で彼は言った。

 そして彼は校舎へと足を踏み入れた…足音をまったく立てずに。


⚪︎同時刻〜職員室 (神視点)

 同じ頃、学園の職員室には1人の女子生徒が先生の机のそばにに佇んでいた。

先ほどの男子生徒と同じく学園の制服に身を包み、腰まで伸びる黒がかった薄青の髪と、女優のような整った顔立ち。そしてぱっちりと開かれた目に収まったやや赤い瞳が、まるで睨むように先生を見ている。

 彼女も先ほどの男子生徒と似たようなオーラを放っており、先生は少しだじたじしながら彼女に話しかける。

「君が、今回編入生としてやってきた生徒の1人、御正門青香(ごしょうもんせいか)さんだね。私は君が配属されるクラス、1年A組の担任を受け持つ早川美琴(はやかわみこと)だよ。これからよろしくね。」

「はい、これからよろしくお願いします。先生。」

 と、凛とした声で答える彼女。

 早川先生は彼女にこう伝えた。

「教室前の廊下で少し待っててもらえないかな。実はあと1人A組に来る子がいるんだ。その子の対応をしなくちゃいけないから…」

「分かりました。先生とその人が来るまで、待機します。」

 そう残し、彼女は足早に職員室を去った。まったく足音を立てずに。


⚪︎ホームルーム 1年A組 (神視点)

 早川先生は1年A組のホームルームを行っていた。そして授業連絡等が終わり、彼女…早川先生は生徒たちに告げる。

「えーみんな。今日は新しい編入生を紹介するよ。しかも2人で、男子と女子だよ」

 先生のその言葉に、一気に教室が沸く。

「えーどんな子かなぁ。イケメンかな〜」

「女子か〜めっちゃ美人だったりしてな!」

「よし、2人とも、入ってきていいよ。みんな仲良くしなさい。」

 2人が入室した途端、1年A組は静寂に包まれる。

 絶句したわけではない。そう。2人とも超がつくレベルの美顔で凄まじいオーラを放っていたからだ。

 男子生徒が自己紹介をする。

「芹雅蒼琳です。以前は別の高校に通っていましたが、親の事情でここに編入することになりました。まだ慣れないので、たくさん質問すると思いますが、どうかよろしくお願いします。」

 続いて女子生徒も。

「御正門青香です。私は海外から帰国してきました。日本に戻ってきたばかりで、少し慣れません。どうかよろしくお願いします。」

 2人は頭を下げた。

 クラスから歓声が上がる。

「2人とも、超いいじゃん!」

「ようこそ、1年A組へ!」

「ゴホン!」

 早川先生がわざとらしく咳をし、生徒を注目させる。

「とにかく、今から2人は1年A組の仲間になるんだ。仲良くするようにね。」

「は〜い!」

 2人はそれぞれの席についた。

こうして、2人の学園生活が始まるのだった。

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