猫の冒険録
四季
第1話 どうやら猫に転生しちまったらしい
ドンっと体に鈍い衝撃が走る。
フワッと宙に浮いている感覚があったかと思うと次にドサっと地面に叩きつけられた。
あ、これ死ぬ。
もはや感覚もない体。キーンと耳鳴りがして何も聞こえない。
ああ、予想してた年よりもずっと若かったな…。
*
あー、お母さんにもお父さんにもさよならが言えなかったな。
死後の世界ってどんなんなんだろう。
天界とか行っちゃったりして。
なんか何も思考できなくなる無の領域に入るとか聞いたことがあるようなーないようなー。
ん?てあれ、無の領域に入るなら何でこんなふうに思考できたんだ?
なんなら天界に行くとしてもここは真っ暗だ。
何も見えない。
も、もしかして地獄!?
いやだ!
フニッ
おや?とりあえず暴れてみたら微かな感触が手から伝わった。
感触があるということは、生きている!?
いや、俺は確かに死んだはずだ。
なぜ?
フニフニ
足も動かしてみたら確かな感触がある。
おお、生きている!
ということは俺は今、どういう状態なのだろう。
訳もわからずとりあえずジタバタしているとザラザラとした何かに頭を舐められる感覚が襲った。
思わず身震いをする。
これは猫の舌みたいな感触だな。
ちょっと気持ち悪くて暴れると今度は顔を舐められる。
ええい、誰か助けて!
そう叫ぶように声を出してみた。
『……みぃ』
ん?
『みぃ、みゃー!……』
これはどう聴いても、猫の鳴き声。
しかも俺の喉から発せられている。
も、もしかして、俺って……
いや、待て待て。
まだわからない。
いまだに開いていない目を開放するのだ!
えいっ!
あまりの眩しさに何度か瞬きをして光に慣れてくるとゆっくりと周りをみわた、、
「みゃー……」
目の前にはでっかい猫。
そしてその猫の瞳に映る俺は……白の毛が綺麗な猫だった。
どうやら猫に、いや子猫に転生しちまったらしい。
猫の冒険録 四季 @yuzu0304
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