第2話 体育の授業

 さて、一時間目の授業は体育。


 オレはこの高校生活を素晴らしいものにしたい。


 先生が二人一組を作るように言った。


 周りをキョロキョロ見る。


 田中さんがすぐオレの前にニコニコして立っている。


「ビックリした」


「あたしの可愛さに?」


「それはない」


 どうしてか、オレは田中さんとペアになる。先生がお似合いだなぁ、と訳の分からないことを言う。デヘヘと幼なじみは笑みを浮かべる。何なんだよこの空気は。


「よし、これから二人一組で二人三脚をしよう。みんな、さあ、準備しろ」


 そう先生はみんなに言う。


「あたしと二人三脚、これからの人生もだよね?」


「丁重にお断りします」


 また彼女は頬をふくらませる。可愛い。


「それじゃ、よーいスタートでみんな一斉に走れ」


 え? いきなり二人三脚の戦いなの? どうなるんだ?


「アキヒロ♥ 一位を取ろうね?」


 うぇー。


「それじゃ、よーいスタート!」


 先生の合図にみんなが二人三脚で走り始める。めちゃくちゃな。って言うか、田中メリカさんのオレの体を支える手つきがヤラシイ感じだった。


「お前、どこを触ってんだ?」


「アキヒロのお尻♥」


「アホか! 真面目に走れ!」


 そうして二人三脚の戦いはオレと幼なじみ、ギャル二人組のトップ争いとなった。


「マジでお似合いかも~? 二人は付き合っているのか~?」


 ギャルに煽られる。


「んなわけあるか⁉」


 否定するオレ。


「オホホホ、付き合ってホヤホヤなのよ?」


 調子に乗る田中さん。


 だーっ⁉ 何なんだよ? この状況は⁉


 そして、ゴールに立っている先生。何はともあれ、先にゴールだ! しかし、ギャル二人組も速い。オレたちも負けじと走る。


「勝つのはウチらだし~?」


「マジそれな~?」


 またしてもギャルに煽られる。


「勝つぞ⁉ 田中さん!」


「アキヒロ♥ あたしのことは下の名前で呼んで♥」


「呼ぶかーーーー⁉」


 最後の力を出しきったオレと彼女が一着を取った。


 ぜえぜえ、はあはあ。


 か、勝った!


 すると、田中メリカさんはオレの腕に抱きつき。


「勝ったね♥ 不束者ですが人生もあたしをよろしくお願いいたします♥」


「え? マジでお似合いかも~?」


「って言うか~? ウチら負けたし? でもお似合いだから許す~⭐」


「あーもー! だから違うんだーーーー!」

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