第3話 タイムリープ?!
ジリリリリリリ……
けたたましいベルの音が私の意識を呼び起こした。
目を開けて、一瞬自分がどこにいるのか解らない錯覚に陥る。
見覚えがないようなあるような部屋、ベッド……次第に意識がはっきりとしてくる。
そうだ、実家で昔使っていた私の部屋だ。
皆野 真呑奈
(いつ帰ってきたんだっけ……?)
同時に、先ほど見た変な夢をおぼろげに思い出す。
その間も休むことなく鳴り続けるベルの音に、私はようやく枕元に置いてある目覚まし時計の存在に気付いた。
時刻は、6時半。
カーテン越しに差す外の明かるさから、早朝であることが伺える。
私は、目覚ましのベルを止めて、ベッドから起き上がった。
部屋の壁に立てられた姿見に自分の姿を映して、私は息をのんだ。
そこに映っていたのは、どこか見覚えのある若い女の子の姿だった。
皆野 真呑奈
「うそ、私……若返ってる?!」
久しぶりに見た自分の若い頃の姿に戸惑いながら、パジャマの下にある身体を確認してみる。
………やはり間違いない。
皆野 真呑奈
「本当に時を遡ったの……?」
そこで気になるのは、今が何年何月何日か、ということ。
部屋を見渡し、机の上で充電されていた携帯を見つけて手に取った。
皆野 真呑奈
「うわー、古い機種」
液晶に表示された日付は、4月1日。
西暦から計算すると……おそらく高校3年生くらいだろう。
卓上カレンダーには、今日の日付の欄に〝始業式〟と赤字で記入されている。
皆野 真呑奈
「本当に、戻ったんだ……」
それにしても、何故高校3年生からなのだろうか。
~回想~
皆野 真呑奈
『あの、本当に人生をやり直せるんですか?』
天使?
『はい、特例ですけどね~』
皆野 真呑奈
『それじゃあ……私、高校生からやり直します!』
天使?
『え、高校生? またずいぶん時を遡りますね~何か理由でも?』
皆野 真呑奈
『あの頃が私の人生で最高のモテ期だったんです!
もし、あの時、私が誰かと付き合っていたら……今の人生きっと変わってたと思うんです!』
~回想終了~
皆野 真呑奈
(つまり、私の〝人生で最高のモテ期〟というのが今だと)
あまり明確な時期までは覚えてはいないが、確かそれくらいだった気がする。
とりあえず私は、クローゼットの中にあった制服を取り出して着てみた。
クリーニングに出したのだろう。洗い立ての真っ新な匂いがする。
皆野 真呑奈
「懐かしい~。 これ着て高校通ってたのよね~。今着ても全く違和感ないわ」
もちろん、女子高生が制服を身に纏っているのだから当たり前だ。
ただ、つい先ほど(?)まで結婚適齢期を過ぎた年齢だったのだ。
妙に気恥ずかしい気持ちがして、居心地が悪い。
皆野 真呑奈
(中身は大人、身体が子供……って、どこかの漫画みたいね)
これ以上は、著作権侵害に触れそうなので、言及はしない。
居間に降りると、ちょうど母が朝食の支度をしているところだった。
母
「あら、おはよう。今日は早いのねぇ」
皆野 真呑奈
「お母さん? 若っ!」
母
「ぇえ、なによ急に。そんな褒めても、何も出ないわよ」
そう言って母は、少し嬉しそうに、普段あまり作ることのないパンケーキを焼いてくれた。
母の作った朝食を口にするのは何年振りだろうか。
そもそも、家を出てからは、ちゃんとした朝食をとることすら少なかった。
懐かしさと感謝の気持ちから、私は出されたものを全て平らげた。
生野菜のサラダ、フツーツと蜂蜜入りのヨーグルト、パンケーキ2枚、ゆで卵、あたたかいコーンスープ。
……ちょっと食べ過ぎたかもしれない。
母は、空になった私のお皿を見て、今日は雪かしら、なんて呟いていた。
そう言えば、高校時代は、ダイエットだと言って、ご飯を残すことの方が多かった気がする。
今思えば、せっかく母が作ってくれたのに、なんて親不孝な娘だっただろう。
お母さん、ごめんね。と心の中で謝りながら、身支度を整えて家を出た。
しばらく歩いたところで、私は重大なことに気が付いた。
皆野 真呑奈
(そういえば……学校って、どうやって行ってたっけ?)
何せ十年以上も前のことなのだ。覚えているはずがない。
皆野 真呑奈
(仕方ない。ここは一旦、家に戻って……)
と、来た道を戻ろうとし、私は自分の家への道すら見失ってしまったことに気付いた。
皆野 真呑奈
(まずいわ。このままじゃ遅刻してしまう)
?
「皆野? こんなところで何やってんだ?」
男子高校生から声をかけられた。私と同じ学校の制服だ。
皆野 真呑奈
「あ、見覚えのある顔!」
短く切りそろえた黒髪に、高身長、制服の上からでも鍛えられているのがわかる引き締まった体つき。爽やかなスポーツマンといったイケメンだ。
?
「なんだよ、失礼なやつだな。この前まで同じクラスだっただろう」
皆野 真呑奈
「えーっと……確か名前は……く、国松? 国後?
くに~なんとか??」
国城 辰巳
「
皆野 真呑奈
「あー、そうだったそうだった。あはは、ごめんごめん。春休みボケしちゃったみたい」
国城 辰巳
「なんだそりゃ。それより、学校へ行くんじゃないのか。そっちは反対方向だぞ」
皆野 真呑奈
「(どうしよう、道に迷ったなんて言えないし。なんとかごまかさなきゃ……)」
★選択肢1★
♡「国城くんと一緒に登校しようと思って」⇒☆選択肢1-①へ。
♡「朝の散歩」⇒☆選択肢1-②へ。
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