021 転生にも二種類
「おはようございます。朝食は食べましたか?もしよろしければこちらで……。」
「出る前にパン食べてきたし大丈夫!気持ちだけ貰っておくね。」
王様の勧めをサラッと断る。もてなしの気持ちは嬉しいけど、王宮の料理を朝からはキツいんだよなー。
ライヤは訓練場に呼び出されちゃったし、マリはお姫様の方に行っちゃうし……話す相手が王様しかいないんだけど!?どうしよ、話題が浮かばないんだけど〜!
「カスミ、だったかな?一つ聞かせてもらおうか。」
ゾワっとした寒気が背中を襲う。振り向いた先にいたのは、昨日見せたどこか浮ついた印象のある、穏やかな王様だったのに、受けた印象は国のためなら幾らでも人を殺せるような、冷徹な国王。若年王とは言うけれど、この凄みを出せるのなら一人前なんじゃない?
というかどうしてこうなってるの!?何か無礼働いたっけ?もしかして昨日のテーブルマナーがなってなかったとかかなぁ……。
「君たち異世界人についてのことだ。」
「…………何が聞きたいの?」
背中に冷や汗が流れる。あの人が何処まで見てるのかはわからないけど、大事にするのは不味い、なんなら最悪だ。
「あなた方は知らないかもしれませんが、異世界人がここにやってくるのにはある程度周期があるのですよ。」
「大規模な召喚魔法、いくら光の大精霊様といえど連発できるものではありません。」
既に確信は得ているんだろうね。クロノ王が一歩踏み出してくる。
「ライヤの出現は10日ほど前、彼は本来の周期と被ります。」
「それにあなたが発見された場所がデザルマーバというのもおかしいのですよね。わかりますか?例外は彼ではなくあなただけであることが。」
「それが何?私が特例だからといってそれがどうあなた達に影響を及ぼすかは不明のはず。それに今それを追及したとして、あなたに何ができる?」
ちょっと言い返しただけだけど、王様は折れてくれたみたいで軽く会釈をして玉座に戻る。互いにとって得しない状況、さっさと折れてくれて助かったよ。
「王よ!急を要する案件ですが宜しいですか!」
「次からは別に許可を取らず入って良いからね。それはそうと、聞こうか。」
兵士っぽい人が随分焦った様子で玉座の間に駆け込んでくる。外の様子がここからじゃわからないんだけど、このタイミングはきっと……。
「無数のホークに上空を占拠されています。リベルテ王国は包囲されました!」
タナビ山が空っぽになってた意味。レイシャを騙し討ちにすることもプランの一つだったのは確かだけど、本命じゃなかったはずだ。
攻め込む準備そうだったんでしょ?
「王様!王国全体を見通せるような、眺めの良いところの一つや二つくらいあるよね!今すぐ私をそこに連れてって!」
「いくら王国が広いといえどドラゴンの息吹に対抗できるのは私の盾くらいのはず。思うことがあるのはわかったけど多少は信じてくれないと守れるものも守れないよ!」
「……わかりました。そこのあなた!彼女をテラスまで案内を!」
タナビ山の時は途中参加だったせいでそんな活躍を見せられなかったけど、今度は違う!
ちゃんと目に焼きつけてよライヤ。強くなった私、しっかり見せつけてやるから!
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