第4話
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お腹が目立ってきた。
“こら、この中のおまえは何だ?”
私はだんだん丸くなってきた自分のお腹を、指でつついた。
おまえは、あのもっさりした男(性格は良い)と、ヒロイン(性格が悪い)が、イチャイチャした結果じゃないか、
何でそれを私が引き受けなきゃならないのよ、
私は結婚さえしていないのにー
身に覚えが無いのに子供ができるなんて、
そんな状況を受け入れられるのは、マリア様かアブラムシくらいだ。
1人のときには、私はいつもこんなふうにお腹に向かって、ブツブツ文句を言っていた。
だから、私は怒っていてもいいのよ!
私はこの誰にも信じてもらえない原因のマタニティブルーのためにいつも不機嫌になっていた。
それでも容赦なく日常は訪れる。
今日は、領地の金山に行く予定で、
夫と私はまだ暗いうちに家を出た。
原作の設定で、男爵家は、(必要も無いのに)首都の郊外に住んでいる。
物理的な距離を近くして、ヒロインと王太子を頻繁に出会わせるためだと思われる。
(もうヒロインは結婚したんだから、この家なんか売っちゃえばいいのに、)
領地内に住めば徒歩30分の金山は、
変な設定のために、ここから馬車でまる1日掛かる。
(不便なんだからー)
いつも不満タラタラだった。
領地の屋敷では、義父が待っていた。
病気になって息子に家督を譲ったのはいいが
健康になったら暇を持て余したそうだ。
身体を使うのに丁度良いと、今は金山の現場監督をしている。
ますます元気そうになった義父と夕食を終え、
明日は採掘現場に向かう夜、
予知夢を見た。
頭の上から岩が! 土砂が! 崩れる!
目の前に真っ黒な土の塊が!
はっと目が覚めた、
崖が崩れる、どこで? いつ?
何か手がかりは?
もう一度集中した。
見えるのはー 山!
んー やっぱり山!
しょーもな、
これは防ぎようがないわー
まあ、周りには人も見えなかったし
どうでもいいや、
見なかった事にしよう!
すっかりやる気の無くなっていた私は、
そう決めて二度寝してしまった。
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