いのちのかがやき

ネジ回しあたま

いのちのかがやき

小さい頃、母や周囲の大人に聞かされた魔法の言葉「かけがいのないいのち」

道端に生えているたんぽぽ、空を飛ぶ鳥、みんな「かけがいのないいのち。」

だから壊したり傷つけたりしてはいけないと、そう聞いた。


ニュースが遠い国の戦争について報じている。

私は物心つく頃には知っていた、

命に価値なんて無い事を。

命の価値は徹頭徹尾客体的な物だった、

入れ物のようなものだ。

誰かが愛情、親愛を注げばその誰かにとってのいのちの価値が現れる。

誰にも必要とされず注がれないいのちは価値すらつけてもらえない。

いのちに対する他者性と客観性は、「かけがいのないいのち」とは真逆のものだった。


この世には望まれなかったいのちもある。

哀れ哀れと蔑まれ、産まれてから一度たりとも注がれなかったいのちの行方がどうかなんて自明だろう。

なぜ大人は子供に世界の残虐さを教えないのだろうか

いや、教えてもどうしょうもないからこそ対局にある希望を教えるのだと思う。

それは屑みたいな現実を知らずに生きてくれたらという蜘蛛の糸よりも細く淡く脆い願いであり、

報われなかった自分の八つ当たりなんだろう。

そんな現状を直視できなかった者は目を逸らした、

そんな事はない、全てのいのちには遍く唯一で絶対な価値があると。

かけがいのないいのちなんだよ!

優しく扱わないといけないんだよ!




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