晩夏光、君との日々
佐々森りろ
プロローグ
夕空が、夜を連れて来るのが早くなった。
耳を塞ぎたくなるほどにうるさかった蝉の鳴く聲が、今はもう、しない。
みんな、死んでしまったのだろうか?
蝉の命は短い。長い間土の中で過ごして、ようやく表の世界へと飛び出して来たのに、たったの七日しか生きることができないんだ。
なのに、ただ毎日、ひたすらに鳴いて、鳴いて。
楽しいことはあるの?
悔しい思いはするの?
嬉しい。楽しい。悲しい。そんな気持ちを持てるようなエピソードを、この七日間のうちに、どれくらい体験出来るのだろうか?
人生をギュッと凝縮されて、何に感動していいのかもわからないまま、尽きる命。
可哀想。そう思っていた。
だけど、その限られた時間を、誰よりも一生懸命生き抜くことが大事なんだと、君は教えてくれた気がする。
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