第2話

コンコンっとノックをして俺は部屋に入る。


「おはようございます。今日来た新人ってあなたで合ってますか…?って、あ…。」


そこには朝、駅で出会った女性が座って待っていた。


「あっ…。あなたは今日の朝お会いした…。すいません名前を聞きそびれてしまて…なんてお呼びすればよいですか?」


「あぁ。自己紹介がまだだったね。今日から君の教育係を担当する吉川春樹です。呼び方は苗字でも名前でもどっちでもいいよ。」


「はい!わかりました!では春樹先輩と呼ばせていただきますね!。」


(なんだこの子…。最初から名前呼びとは…なんか…すごいな…。)


「え、あ、うん好きな呼び方でいいよ。」


「はい!あ、そういえば私の自己紹介がまだでしたね。私の名前は秋山咲秋と言います。これから迷惑などかけると思いますがよろしくお願いします!」


(さきさんかぁ…。漢字はどう描くのだろうか。後で長谷川先輩に聞いてみるか。)


「こちらこそ。あまり上手く教えられるかわからないけれど、よろしくね。さきさん。それじゃあまず基本業務からやっていこうか。僕についてきてね。」


「はいっ!」


そして数時間後…。


「これで一通りの基礎は理解したね?」


「はい!ばっちりです!」


「おぉそれならよかったよ。じゃあこの後は一時間の昼休憩だね。また午後からがんばろ。」


「わかりました!ありがとうございます!頑張りましょう!」

(ふぅ…。やっと午前が終わった…。さきさんに教えてるせいもあってかとても疲れたな…。)

正直さきさんは俺が思っていたより物覚えもよく教えたことがすぐできるような人だった。だができると言ってもまだまだ完璧には程遠かった。

(まぁこれからしっかり教えていけばすぐできるようになりそうだな…。まぁそのことは置いといて今は休憩しよう。)

なんて考えていると長谷川先輩がやってきた。


「おつかれ吉川、調子はどうだ。」


「あー…。まぁ順調っちゃ順調です。」


「おぉ、そうかそうか。ところでなんだが今日の夜暇か?」


「一応暇ですけど…。まさか残業があるんですか…?。」


「いやいやちがうよ。暇なら飲みにでも行こうかと思ってな。暇なら丁度いい、今日 仕事が終わったら会社の前で待っといてくれ。それじゃ頼んだぞ。」


「え、いやあの…。」


そう言うだけ言って長谷川先輩は俺の返事も聞かずに立ち去って行った。

(何だったんだあの人…。まぁいいや。休憩、休憩っと。)

そうしてあっという間に昼休憩が終わった。

さきさんはまだ初日のためもうすでに帰ったそうだ。

「さて、午後も頑張るかな。」

午前中、さきさんに教えていてなかなかできていなかった仕事を手を付ける。


「これ…。定時までに終わるかな…。」


そう呟くと、突然背後から視線を感じた。

振り返ってみると、とても悲しそうな顔でこちらを見つめる長谷川先輩がいた。

(ほんとうに何なんだこの人は…。どれだけ飲みに行きたいんだよ…。)

そうして俺は何事もなかったかのようにまたパソコンに目を戻し、仕事を再開した。


あれから数時間たち時間はもう19:00になっていた。

(仕事も一段落ついたし今日はこれくらいで切り上げるか。)

そしてパソコンの電源を落とし荷物をまとめ、部屋を出る。

エレベーターに乗り、ロビーに行くとそこにはすでに長谷川先輩がいた。


「おーい、吉川こっちだぞー。」


「そんなでかい声出さなくてもわかりますよ…。」


「まぁまぁ、今日は週明けだしいっぱい飲みまくるぞ吉川。覚悟しておけよー。」


「普通週明けは飲まないと思うんですけど…。」


「まぁ細かいことは気にするな。それじゃあそろそろ行くか。」


そう言って俺と先輩は会社を後にしたのだった。

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