「もしも……」から始まる本作のパターンは、創作を趣味としない人であっても一度は考えるであろうありふれたパターンです。それを他者が読む作品にするには独自の何かを持つ必要があります。
本作は、文体が調和に満ち、読む人を快楽へと誘います。意味を読み取れば災厄そのものと分かるのに、連なる言葉に身を委ねたくなります。
作中の人類が災厄に逆らわず身を委ねた、それは不可思議でなく、読者が追体験します。
詩に似た文章と作者様は仰いますが、詩作も試みているレビューアーからすると、詩は葉の意味を誇張したり敢えて無意味にしたりするなど「読みにくさ」(平易な言葉で言うとこうなります)を意図することもあります。
一糸乱れぬ本作の文体は、詩というより、音楽を感じさせます。不協和音を含まない調和に満ちた音楽。聴いている人を快楽へ誘う音楽。
最悪の災厄は音楽になりました。