死神に夜は似合わない

佳尾ほむら

プロローグ


 “死神”とは、生命の死を司どる神、あるいは生命に死をもたらす霊のことだと表されている。


 * * *


 神々が地上に降り立っていた時代、その昔。神々は生命とその生命の生ける場所を作り出した。生命は、神々に見守られながら日々を過ごした。


 やがて、生命は戦いを始めた。生きるためでもない、意味のない戦いだ。殺そうとしても生命は死ななかった。神々が生命に終わりを与えなかったから。戦いは何度も行われた。神々は止めさせようとしたが、生命は止まらなかった。


 神々は生命を壊そうとした。いくつもある生命をすべてなくしてしまおうと考えた。神々は結局生命を壊さなかった。


 最終的に、神々は生命の終わりを作り、終わった生命が過ごす場所を作った。

 そして、終わった生命に仕事を与えた。その仕事とは、生命に死をもたらすこと。終わった生命に、“死神”という仕事が与えられたのだ。



 かくして、死神が誕生したのである。



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