その翡翠き彷徨い【第37話 聖なるかな】

七海ポルカ

第1話





 ――雨。




 雷鳴と閃光。



 深い森。

 泥の地面から這い上がって来る無数の人影。

 触れた時の砂が崩れ去るようなあの感触。

 人はあんな風にこの世から消えることが出来るのだ。

 灰の雨。

 ひとの肉を焼く、酷いにおい。


 駆り立てられるように走り続けた。


 手を取られる恐怖。

 罪を暴かれる恐怖。


 振り返ることも無く走り続けた。



 ――――光が見えるまで。


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