B1 また、会えた日
とある病院の5階小児科病棟。
この病院には職員専用の『遺体』を運ぶ為のエレベーターが存在する。
外来患者から見えない、関係者しか入れない分厚い扉の中のエレベーター。
深夜、そのエレベーターが動き出し5階で停止する。
乗ってきたのは4歳の男の子。
小児がんと闘った末に亡くなった。
その子はB1の遺体安置所へのボタンを押す。
B1に着くと、重たい扉が軋み音を立てながら口を空ける。
男の子はその場で立ち尽くす。
蛍光灯が廊下を照らし、一部はチカチカと点滅している。
その冷たい空気に今にも泣き出しそうになる。
ふと、右を見るとおばあちゃんが立っている。
『あら…シンちゃん、ここにいたのね…おばあちゃん探したよ』と孫に声をかける。
「あのねおばあちゃん、僕、ママを探したんだけどどこにもいなくて困っているんだ」とおばあちゃんに話す。
おばあちゃんは少し困った顔をする『…そうかい。じゃあここを降りてママを探そうかねぇ』
おばあちゃんと一緒にママを探すシン。
曲がり角を曲がるとママが手を振っている。
そしてしゃがみながら両手を広げる。
「ママー!」と駆け寄り思いきり抱きつく。
『シン、よく頑張ったね。ママ、あなたを強い子に産めずに痛い思いをさせたね…本当にごめんね』と号泣している。
シンはママに話す。
「もうどこも痛くないし苦しくないよ!ママ!おばあちゃん!一緒におでかけしようよ!」
おばあちゃんもママに寄り添う。
『久しぶりに3人会えたんだから、シンが行けなかった所へ今から沢山行こうね』
「うん!」
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